日本においては、青木京子が論文「『人間失格』の女性像―『暗夜行路』との比較を中心として」の中で、二つの小説に登場する女性を分類して比較している。似たような女性像が表れるのは母親のイメージの欠落であるからだ と指摘している。そして『人間失格』は、『暗夜行路』を意識した作品であると分析した。青木のもう一つの論文「太宰治論ー女性像を中心として」の中で、作品に登場する女性像の変遷について、前期から後期まで分類し、前期は傷つく女性、中期は明るい女性、後期は死にゆく女性と、「強い」女性が描かれ、後期では世代交代が明示されている と述べた。
以上から中国側の研究には、太宰治の女性観についての論文があるが、詳しく論じたものはなく、その原因を分析するものもほとんどない。日本側の研究から見ると『人間失格』に関する研究は少なくないが、『人間失格』の女性像を中心に太宰の女性観を研究したものは少ない。
1.2研究の方法
『人間失格』は太宰の最後の作品であり、作家の自伝小説であると言われている。よって、作家の心理状態をよく理解するのに有用であると思われる。本論では、作品に登場する女性像を分析した上で、太宰の女性観について論じたい。さらに、太宰の成長環境などから、なぜそのような女性観を持っているかのも解明してみたい。
《人间失格》的女性形象太宰治的女性观(2):http://www.youerw.com/riyu/lunwen_50671.html