映画の主題歌の原曲となった「もののけ姫」にはポピュラーなメロディーと歌詞がある。作詞は宮崎駿自身が担当しているが、映画の主題歌と比較すると歌詞中の「おまえ」と「そなた」の位置が逆転している。歌詞はもともと、曲を作る際、そのイメージを宮崎駿が詩にして持ち込んだものだが、その素晴らしさに驚いた久石譲が勝手に曲をつけてしまったというエピソードがある。この曲に関しては、イメージアルバムの製作段階で「日本風」と「西洋風」の両方が提案されたが、アルバムには日本風もののけ姫が収録されている。 演唱者の米良美一は、女性のような高い声で歌うカウンターテナーが話題になり、この作品によって広く認知されるようになった。
主題歌を除く他の音楽作品も優秀で、その中の美しさは、注目に値する。しかし、アニメ映画音楽についての研究は非常に少ないのが現状である。それに関する専門書はほぼなく、関連する論文も指を折って数えられるぐらいだ。アニメ映画「もののけ姫」を研究する学者はいるが、その作品の内容を分析し、解読し、或いは、その中の自然観と生態主義を研究対象としているのみである。それに対し、音楽の面からの研究は僅かである。
程辉の「从久石让的动漫配乐看音乐元素在动漫影视中的运用和功能」は、「もののけ姫」の中で、久石譲は器楽の変換を利用して雰囲気を盛り上げていると指摘した。
本論文では、音楽学の角度から、「もののけ姫」の音楽を主題音楽、場面音楽、主題歌、挿入曲に分類する。更に、スタイル、器楽の編成、機能などの面から分析し、映画への理解を試みる。また、よい音楽がアニメ映画のメッセージをどう表現するのかや、アニメ映画の普及にどのような影響を与えるのかも研究目的とする。この研究によって、今後の中国のアニメ映画の音楽に関する創作と発展に啓示を与えられることを願う。
2.先行研究
2.1 あらすじ
エミシの村に住む少年アシタカは、村を襲ったタタリ神と呼ばれる化け物を退治して、右腕に死の呪いを受けてしまう。タタリ神の正体は、何者かに鉄のつぶてを撃ち込まれたイノシシだった。人を憎んでタタリ神になったのだ。アシタカは呪いを絶つため、イノシシが来た西の地へと旅立つ。文献综述
旅の果てに、アシタカは山奥で倒れている人を助ける。彼らの村はタタラ場と呼ばれる、鉄を作る村だった。そこを治めているのはエボシという女だ。エボシは、石火矢と呼ばれる火砲を村人に作らせ、山に住む"もののけ"や、村の鉄を狙う侍たちから村を守っていた。イノシシに鉄のつぶてを撃ち込んだのも彼女だという。鉄を作るために自然を破壊する彼らは、"もののけ"達を追いつめていたのだ。アシタカは、これ以上憎しみを広めるなとエボシに忠告するが、村人達にとってのエボシは、生きる希望を与えてくれる女性でもあった。
そのエボシの命を、「もののけ姫」が狙いにくる。その正体は山犬に育てられた人間の娘、サンだった。窮地に陥ったサンをアシタカは救うが、同時に彼は瀕死の重傷を負ってしまう。倒れながらもアシタカは、生きろ、とサンに語りかけるが、人を憎むサンは聞く耳を持たずに、助けてくれたアシタカを殺そうとする。しかし、アシタカから美しいと言われたサンは、動揺して思いとどまる。 动画电影《幽灵公主》中的音乐研究(2):http://www.youerw.com/riyu/lunwen_80605.html