箸は中国人にとって欠かせない一日三膳の生活用具であり、日常生活の中で代われない地位を持っている。日本の箸は中国から取り入れたものである。はしは中国古語で「箸」と書かれて、日本に伝えた中国漢字「箸」はそのまま日本の漢字になった。日本の箸の歴史がとても長いといわれる。時間の流れにつれて箸の形と機能の面で変化しつつ、独特な箸の文化を成している。我が国で最初に箸に関して記載したのは『礼記·曲礼』で「飯黍毋以箸。羹之有菜者用挟,其无菜者不用挟」である。3世紀に書かれた『魏志倭人伝』の中で「倭人は手食する」と箸を使っていなかったような記載があるが、奈良時代に成立した歴史書『日本書紀』や『古事記』には、箸に関する記述が見えるようになった。
今まで、我が国では箸についての研究が比較的に豊富である。日本のそれについての研究は全体の文化や習慣の研究を中心としているが、箸を概括的に説明し、全面的な研究は不足している。ここで、いくつかの研究者の成果を挙げよう。本田総一郎(1985)は『箸の本』の中で、お箸のタブーについて述べている。例えば、どの料理から手をつけようかと迷い、料理の上であちこち動かすことは「迷い箸」、箸をなめることあるいは、箸の一部分がロ中深く入れて、そして音を出すことは「舐り箸」、汁物などのとき、椀の中をかきまぜて中身を探ることは「探り箸」だと述べた。賈蕙萱(2002)も『中日飲食文化比較研究』の中で同じことを書き、中国ではそれぞれ「執箸巡城」、「品箸留声」、「海底撈月」と呼ばれることを述べた。村木新次郎(1992)『日本語の語彙と日本文化』の中で箸に関する語彙がたくさんあり、そして箸の握り方や使いルールもあると述べた。孫麗娟(2012)『从筷子看日本文化』の中で、箸は中国から日本に取り入れた後で飲食生活の中で普及と発展を得て、そして独特な箸の文化が発生した。本論文では中日両国箸の歴史、箸の持ち方、箸を使うマナーの対照を通じて、中日両国の箸食文化の相違点を検討する。日本の箸は中国から伝わってきたが、千年に渡って使用の習わしが中国と違ったわけだ。日本の箸文化を深く理解するために、その原因を探ってみたいと思う。箸について創意性のある中国人に対して、日本人は真面目な研究精神がある。東洋文明を表す発明としてのお箸は中国では幸福などの意味を付与され、日本では、箸が生命力に緊密に関係することが思われる。