そして、民俗宗教におけるタブーも共通していると考えられる。その中に、結婚式には数多くの禁忌が存在しており、「結婚マナー」というキーワードでインターネット検索をすると、様々なしきたりやタブーに関する情報が出てくる。これらの禁忌、いわゆるタブーの現象が、未開人や古代社会の問題に尽きず、現代の問題でもある。
結婚式の服飾は身分転換の過程の中に重要な使命を担っている。服飾は人間の肉体と接近するので、本人と同一性があり、服には本人の魂がついているとされる。服飾は時代、民族、地域、性別、年齢、階級、職業等によって異なり、また着用機会によっても異なる様式が用いられる。結婚は通過儀礼であり、それに伴う聖と俗は社会規範などと深く関係していると思われる。したがって、中日両国は文化的に多くの共通点を有しているが、社会規範などの違いで結婚式のタブーも異なっている。
1。2 先行研究
今まで、我が国では結婚式の服飾のタブーについての研究が比較的に豊富で、すでに多くの優秀な学者は中日禁忌文化面の研究に専念している。日本のそれらの研究については全体の文化や習慣の研究を中心としているが、結婚式の服飾のタブーを概括的に説明し、全面的な研究は不足している。結婚式のタブーについてはこれまで多くの研究が行われ、数多くの成果が挙げられている。両国においての関連する研究内容が以下のように示されている。
『中国民俗通志(禁忌志)』(2005年3月、山東教育出版社)では、著者の任騁氏は服飾や食べ物、また住居のタブーなど、十八の方面から中国の民俗宗教におけるタブーをめぐり、全面的に紹介し、タブー現象の起こる原因も分析した。
また、華梅氏、朱國新氏は著書の『服飾とタブー』(2010年1月、中国時代経済出版社)では日常の身なり、祝日、色彩、身分などから服飾のタブーを説明し、特に中国の服装のタブーを中心とする内容が多いと見られている。しかし、他国のそれに関連するものが少ないことが分かる。
ザ・アールは監修の『冠婚葬祭とマナーの基本事典』(2013年8月8日、成美堂出版)では結婚、出産、祝儀、不祝儀の金額目安、お礼の仕方やお祝い・お返しのきまり、ご近所づき合いや、今どきの暮らしの新ルールまで、冠婚葬祭の基礎知識と暮らしのマナーに関する常識や考え方を項目別にわかりやすく解説している。
したがって、結婚式の服飾に関するタブーの研究は、中日を比較するようなものが欠乏していて、顕著な研究成果がまだ挙げられていないと考えている。多くの研究者は中日の結婚式のタブーについて研究したが、結婚服飾の禁忌についての研究は不全である。更に、日中の結婚式の服飾のタブーの異同点はまだ指摘していない。日本において中日の結婚式の服飾のタブーの比較についての研究はあまりにも少ない。日中の服飾のタブーについての研究が多いが、ほとんどの内容は色彩、材料、身なり、飾り物、デザインなどの角度からの研究で、タブーの由来と形成理由についての分析が不十分である。
2。 結婚式の服飾タブーの由来及び形成理由论文网
タブーという言葉はポリネシア語から起源し、禁忌という訳語も用いられる。タブーとは、「してはいけない」という意味である。タブーの本質は、民俗信仰であり、民衆の社会心理を反映するものである。また、民衆の社会習俗や同調力によって成り立っている。身近な例としては、言霊信仰がある。これは死など、縁起が悪いとされることや、本名である諱の避諱のように、それについて極力、言及しないこと。口にしなくてはならないときは、遠まわしに言うこと、などといったものがある。