2.先行研究
日本の茶道は中国の茶文化に来源し、禅宗の日本化の影響で形成された独特な文化である。日本の茶道の内容が非常に豊かであり、日本文化を十分に示した。その中、茶室は日本茶道の重要な一部として日本人の独特な文化――――日本人の美意識を示した。『日本茶文化中的茶道建筑』という文章の中で、郜珊(2012)によれば、茶室建築に含まれる美意識を自然美、建築形式美、光と影の効果、簡素美、調和美、心理感受という六つの方面から述べている。この文章で、茶室建築に含まれる自然美が具体的に描写された。哲学者久松真一(1889~1980)は、『茶の精神』(1948、のち『茶の哲学』講談社学術文庫1987)で、茶室に含まれた美意識を七つ挙げている。それは自然、不均斉、簡素、枯高、幽玄、脱俗、静寂の美だと指摘している。また、『从茶道看日本文化中的审美意识』という文章で、毛执剑(2010)は「人茶合一」の自然美、和敬清寂の境地美、「茶禅一味」の宗教美という三つの方面から述べている。そのうえ、ほかの多くの学者も以上言及した美意識あるいは似ている方面から茶室建築に含まれる美意識を紹介した。以上から見れば、言及した美意識主に自然、宗教に関わっているので、この章では、茶室に含まれた自然の美と禅宗の境地の美という二つの方面から紹介したい。论文网
2。1 茶室に含まれた自然の美
自然条件が日本文化の揺籃てあるから、自然美は日本民族の審美意識の基礎と主体になる。自然は美の源泉を与え、美の底本となる。一切の事物が自然美を基礎に創造されるものである。『追求自然的和谐——日本茶室建筑设计分析』という文章で、蔡军と张健と赵冬梅 (2008:103-106)は、典型的な実例の平面構成、視覚構成、室内外の空間、建築材料などの方面からその建築設計の技巧を分析し、日本茶室建築が自然と調和を求めるという特色を討議する。また、『茶室:与日本族魂相通的建筑』の文章で、陶蓉蓉(2007)は、茶室から示された日本人の独特な自然観を描写しただけでなく、茶室建築に含まれた自然変化の美も描いた。陶蓉蓉(2007)によれば、日本人が強烈な自然コンプレックスを持っているので、自然と季節に対する感受を重視すると述べている。自然的な事物が現れてから美の存在になる。自然の本質の美に対し、それをわざと飾るのは余計であり、無意義である。そのため、自然観の視点から見れば、日本茶室建築の本土性を見ることができる。話によると、お茶が唐から日本に伝えられたとのことだ。東山文化時代では、珠光禅師は四畳半の茶室を創立した。千利休は「茶室は誠に市中の山居というべし」と激賞したことがある。この話により、茶室建築の自然美への渇望が実に感受できる。利休の草庵風の茶室がちょうど自然美の典型的な例である。郜珊(2012)は、『日本茶文化中的茶道建筑』という文章の中で具体的に鎌倉時期から安土、桃山時期までの茶室建築の発展を紹介する。そして、千利休によって設計された草庵風の茶室建築を例とし、茶室の整体と細部の構造を示す。そのうえで、美学の視点から茶室建築に含まれる自然美、建築形式美、光と影の効果、簡素美、調和美、心理感受を分析する。この文章で、茶室建築に含まれる自然美が具体的に描写された。郜珊(2012)によれば、茶室建築そのものは一切に自然を尊重することを原則とする。単独で建造されれば、しばしば郊外の静寂な土地を選ぶ。住宅の一部として建造されれば、しばしば野趣あふれる庭を茶室につりあう。茶室の周囲で人工的、美しくあでやかな花草が非常に少ない。茶室の室内では、利休さんはただ一枚の石または一株の草だけを使ったのように、非常に簡素な方式で大自然を茶室に凝縮した。また、茶室の建築材料を選ぶ時、外部の輪郭から内部の装飾品まで材料の自然性も非常に重視される。枯れ枝でも、残りの砕石でも、磨くなくの石でも、ここで美の象徴となり、わざと飾られる必要がないと思われる。傷跡がある木の杭、のりづけの泥があるまがき、原木あるいは原竹でつくられた窓格子、さらには、竹で編む花瓶······こうしたものは日本民族の「自然は美だ」という観念の一番の宣言である。こうした茶室に身を置き、人間は直接に自然の美を感受できるということである。