1909年に生まれた松本清張は社会性のある題材を扱い、作品世界のリアリティを重んじた社会派推理小説を創作した。彼の作品が文学性も見られる。1958年には『点と線』、『眼の壁』を発表し、これらの作品がベストセラーになり、松本清張ブームと社会派推理小説ブームを起こした。それとともに、本格派と社会派の対立も目立つようになった。
本格派は伝統的な謎解きを主要な内容として、厳格に「ノックスの十戒」 を守り、事件の奇抜性や素晴らしい犯罪手法を追求し、写実性をおそろかにして社会問題の披露と社会への影響を中心とするのに賛成しない。日本推理小説の流派の一つである。代表人物は江戸川乱歩、宮野村子、綾辻行人などがある。社会派ミステリーとも、日本推理小説のジャンルの一つで、1960年頃から用語として使用されている。写実性を重視し、社会性のある題材を扱い、社会への影響を重んじる。少年犯罪や少年法、医療や裁判などを題材とする作品が多い。松本清張、西村京太郎、森村誠一などが代表人物である。一方、社会派は本格派と異なり、リアリティに反するという批判がある。社会派が謎解きをおそろかにすると思う人も少なくない。
しかし、東野圭吾の作品はこの印象を打ち破った。彼の作品には、本格派の特徴もあり、社会派の特徴もある。当時日本文壇は彼に驚く、議論を引き起こしていた。その後、東野圭吾は次第に日本推理小説の新しい代表人物になった。
なぜ本格派と社会派推理小説は現在一時的にやや退潮したのか。いったい日本推理小説の発展傾向はどうなっているだろうか。日本推理小説の歴史、特に本格派と社会派の発展を調査して両者の対立と融合などの要素を通じてその傾向を探り出してみたい。
2。先行研究
推理小説はアメリカで生まれてきたものである。アーサー・コナン・ドイルは第一代の推理小説を開く小説家とみなされ、「ミステリーの女王様」と呼ばれるアガサ・クリスティは第二代の推理小説を始めた。しかし、第三代の推理小説の幕を開くのは東アジアにおける日本である。大衆文学の一つとして、百年あまりの歴史を持っている。
日本の推理小説の発展は黒岩涙香が1888年に発表した『法廷の美人』という翻案小説をはじめとして、戦前派、本格派、社会派、新本格派、新社会派などに分かれ、読み続かれている。浪漫主義時期(1923~1956)、写実主義時期(1957~1986)と多様期(1987~)という三つの時期に分けている。论文网
日本推理小説は中国で広く伝播し、大流行になっている。1980年代以来、日本推理小説の研究は軌道に乗り、それぞれの研究の実績をあげた。
2000年の帥松生の「日本推理小説の発展と特徴」 は大抵三つの部分に分ける。第一、歴史の視点から日本推理小説の芽生え、発展、繁栄の過程が述べられている。第二、各時代の代表推理小説家を具体的に分析し、推理小説の思想内容と芸術様式の更新を推し進める社会原因と審美方面の原因を探す。第三、日本の現代推理小説の特徴をまとめる。2011年の栗楨の「日本推理小説の二つの道」 は日本推理小説の発展の歴史、推理小説の本質と構成の特徴、「重情派」と「重理派」、中国への影響という四つの部分に分けて検討した。それ以外に、大井田義彰、李修京、王志松と王成一緒に書いた「東アジアにおける推理小说」 、曲朝霞の「日本大衆小説談」 と路之瑶の「第三の黄金時代――日本推理小説の発展」 なども日本推理小説の発展歴程、発展背景、原因、特徴などを研究している。