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    1.2先行研究

    「に」という助詞はどのような用法があるのか、これらの用法がどこに異同があるのか、その理由はどのようなものだろうか。日本語学習者にとって大きな問題点になりがちな、非典型的な用法、およびその使い方の規則を探究し、明らかにするため、様々な資料を調べてみたところ、日中両国の言語学者は「に」についてすでにある程度の検討を行っているということが分かった。

    例えば、王忻は「与格语义扩展机制下的非典型语义探究及其他——从中国学习者与格偏误说起」で、中国学習者が「格」の非典型的な用法に誤りが多いことを述べている。この用法の語意は「格」の本来の意と比較して、縁辺地域に置かれる非典型的な語意である。それらは3種類に分類される。一つ目は動態性の動作の到着点である。二つ目は静態性の動作の到着点である。三つ目は動作の出発点である。こちらはそれぞれ連続統がある。連続統の一端は相対の一端の格助詞を排斥する。中国学習者はその排斥をおろそかにするため、誤りを犯す。二つの連続統での間の部分は両者とも使えるが、日本語母語者は「に」に偏ると述べている。

     常波涛、常曼は『日本語の格助詞の例解』で、「主語に敬意を表す」という新しい用法を指摘した。廖琳は『从格助词的原意看其语法意义』で、「に」を例として、格助詞の本来の意からさらに、その派生意を検討している。そして、格助詞の具体的な用法と比較して分析し、「に」という格助詞が文法の意の異同を明確にした。严娟娟は『日语格助词「に」的用法』で、「に」の用法をまとめて分析した。陳宝英は『浅析格助词「に」的用法特点』で、「に」の特徴を分析した。張建華は『基于语料库的中高级日语学习者助词に的习得研究』を通じ、「に」の用法を論じた。日本側では、鈴木康之の『現代日本語の連語論』と奥田静雄の『に格の名詞と動詞との組み合わせ』では、言葉と言葉の間の語意関係を研究し、「とりつけの構造」を提出している。

    しかし、上記、「に」に関する研究は主に格助詞の文法的な意、格助詞間の異同の比較、特徴、母語によるの誤用に関することである。「に」の作用などに着目されているが、上記の例文での「に」はどういう意か、どういう使い方かなどにはほとんど言及されていないようである。多くの「に」の用法が分からないことによる誤用、さらに理解上の間違いからしばしば起こるのも事実である。よって、筆者はそれを課題として研究する価値があると考えた。

    したがって、論文を通し、日本語の「に」の非典型的な用法を探り出し、「に」の使い方の規則などを明らかにしたいと考える。その他、日本の新聞や小説などをより深く理解することにも役に立つと考えている。

    1.3研究の方法本稿の目的と方法

    日本語学習者にとって大きな問題である非典型的な「に」を対象にして、日本語と中国語を対照しながら、その用法、使い方の規則を研究する。まず、辞書から、「に」の用法を調べ、典型的な用法を書く。次に、コーパスからそれらとは違う「に」の実例を探し、自分のノートに書く。その後、その例文を分類する。様々な先行研究を読み、大量の資料を調べる。その次に、資料を利用し、指導教授の指導を受けながら、分類した実例を分析する。最後に、それらの非典型的な「に」の用法をまとめる。

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