b)Kinesis(動作様態、動き) 動作 非動作
c)Aspect(アスペクト) 動作限界あり 動作限界なし
d)Punctuality(瞬間性) 瞬間 非瞬間
e)Volitionality(意図性、意志性) 意図的 非意図的
f)Affirmation(肯定) 肯定 否定
g)Mode(現実性) 現実 非現実
h)Agency(動作能力、動作主性) 高い 低い
i)AffectednessofO
(被動作性、受影性) 全体的に影響 部分的に影響
k)Inpiduation of O
(対象の個体性) 高い 低い
(表2-1 Hopper Thompson(1980)の他動性の10の意特徴)
これから他動性の高低を分析できる、例えば:
(2−4)太郎は読むことが好きです。
(2−5)太郎は鈴木さんにぶつかった。
なぜなら2−5の他動性は2−4より高い。(2−4)には参加者が一人しかなく、限界なく、非瞬間的な状態であり、(2−5)には参加者が2人以上、限界あり瞬間的な動作である。これらのことから、他動性は程度の問題であることが分かる。Hopper&Thompson(1980)は「他動詞文と自動詞文は峻別できない。連続帯をなす。」を定義とした。
2.2.2 三上章(1972:105)
三上章の定義では、受動文が可能な動詞の中で、直接受動文が可能なもの(受動文を作れない動詞と、受動文は作れても間接受働文しか作れない動詞は自動詞である)である。この定義では、「を」でなく、「に」を取る動詞でも、ある種のものは直接受働文が可能なので、他動詞である。
2.2.3 角田太作 (1991,1999)
角田太作/Tsunoda(1991,1999)はHopper Thompson(1980)の説を踏まえて、他動詞文は「参加者が二人またはそれ以上いる動作者の動作が対象に及び、かつ、対象に変化を起こす。それで、他動詞の原型は相手に及ぶ、かつ、相手に変化をおこそうとする動作を表す動詞」と定義した。しかし、他の説と違い、角田(1992)は、「意志性は他動詞文と自動詞文の区別とは関係ない」とした。角田(1992)によると、他動詞意の側面では、世界のどの言語にも同じだが、形の側面は言語によってその言語の文法的な特徴を持っている。しかし、形は他動詞文に同じだからと言って、必ずしも他動詞文とは限らない。角田太作 (1991)によると、以下の項目も他動性の特徴として考察するべきだとする。
a)格助詞は「が―を」構文
b)直接受動文
c)間接受動文
d)再帰文
e)相互文
「ガ―に」の文は対象に及んでいるのに、対象に変化を起こさないので、他動詞文と見なしていない。
2.2.4 二つの学説の相違点
これから、角田太作 (1991)とHopper Thompson(1980) の相違点について簡単的に説明する。まず、hopperは意の側面だけを考えている、自他動詞の形の側面からはっきりと区別していない。また、「I.被動作性」について、角田は対象に及ぶかどうかのみならず、対象に変化を起こすを重要な点として考える。例えば: