ところで、前学期私は日本語能力試験一級を準備したため、一級の単語を暗記した時、「隙間」、「声高」などのような単語に気づいた。中国語には、これは「间隙」、「高声」である。この二つ組の単語の意は同じけれど、なぜ漢字の順序が違うかは資料を調べたら、この現象は日中同素逆順語ということがわかってきた。そして、私は一級単語帳(2004年9月1日版『日语能力测试一级词汇必备(日本語能力試験1級・語彙)』)にある日中同素逆順語を整理して、だいたい71組がある。その71組の日中同素逆順語を対象として、自分の拙筆でうまくまとめてみたと思う。さて、中国語を母語としての中国人にとって、日本語の勉強はなんとか親しく想う気持ちがあるかもしれない。だけどといって、ただその故に、私たちはよく日本語の「落とし穴」に落ちてしまう。今後、それみたいな誤用を避けるために、日本語と中国語をちゃんと対照しながら学ばなければならないと考えられる。それこそ、日中同素逆順語を研究する価値だと思われる。因みに言って、本論文は先行研究を立脚して、「逆順同義語」、「逆順類義語」、「逆順異議語」、三つの面から分析して、日中両国の漢語の発展や相互影響などを研究するとういうものなんである。
本論文の目的と言えば、以上のような研究を通じて、日中両国の語彙の関わりを少しでも理解して、語彙の同じところにも違うところもあるということがわかってくる。そのうえ、両国の文化交流もより一層理解される。更に、一級試験を受ける我々日本語学科の学生にとしては、誤用を回避するにも重要な意義を持っている。
2.先行研究のまとめ
記録符号としての漢語は、日本語には、大量な存在がある。日中対照言語学の研究は極めて重要な意を持っていると考えられる。多くの日中学者はこの点を注意して、該課題に研究を行った。日中言語学には、語彙比較研究の一環としての日中同素逆順語は多かれ少なかれに及ばれた。鄧牧「語構成からみる日本漢字における二字逆順語」(『漢日語言比較研究』、第一章、北京大学出版社、2010年)は、日本語における二字逆順語を語構成と意関係との関わりから考察している。鄧牧先生のような多くの学者は日中両国言語の語構成から日中同素逆順語を研究していた。
その一方、日本の研究者は研究対象を具体的な語彙に絞って、同素逆順語の形成する原因及び変化の過程に傾いて書き記すそうである。佐藤亨「近世の漢語について考察―治療、療治をめぐって、」(『国学語』、国語学会、1976年)と吉川明日香「字順の相反する二字漢語―「略奪、奪略」と「現出、出現」について」(国立国語研究所報告、2005年)は漢語字順の歴史を辿って、漢籍と日本書籍における、研究する対象の例を挙げて、通時的に語彙の変化過程を考察してきた。
当然ながら、ある学者は日本語と中国語の正順と逆順の対照関係から分析した。例えば、日本語には「素質」と「質素」二つの単語があるけれど、それにたいして、中国語には「素质」だけがある。もう一つの例からみると、「情熱」、「熱情」は日中両国は二つともある。しかし、単純に意の面から研究する文献は多くない。
本論文は「谈日中同素异顺词的形成与应用(日中同素逆順語の形成と応用について)」(石素文 日本語学習与研究 2001年04期)と「日汉同素异序词比较研究(日中同素逆順語の比較研究について)」(金鮮花 科教文汇 2011年)などの論文を参考して、日中同素逆順語の分類、原因など、また、その課題を研究する目的、意義などを具体的に論説する。「谈日中同素异顺词的形成与应用」は日中両国の漢字発展の歴史を遡りながら、日中同素逆順語の形成とその原因を説明した。「日汉同素异序词比较研究(日中同素逆順語の比較研究について)」は日中語彙の順序の逆になっている単語の意と使い方に重きを置いた。