2.1 結婚式における中国の習俗
中国は大陸国家である。人口も多く、56民族が共存し、悠久なる歴史文化を持つ国である。簡素な結婚式を除けば、一般的に中国の結婚式はかなり派手である。日本の結婚式の派手さをさらに超えた派手さである。
漢民族の結婚儀式は日本より、複雑である。「周礼」、「仪礼」、「礼记」などの中国の儀式典礼に関する古典書物には、多くの結婚業式方式が明記されている。六礼は結婚前の婚儀礼である。正婚礼は婚礼の最もな一環である。漢民族の正婚礼には、「娶亲」「拜堂」「酒宴」「闹洞房」の儀式が行われる。まとめていえば、中国伝統婚礼の全過程は誰もが新郎の長い服とチョッキ、赤い花とミルキーハット、新婦の赤いベール(旧時、女が嫁入りの時、頭にかぶった赤い布)とお目出度い赤い服、新婦を迎える華やかな駕篭、耳を突く爆竹の音、敬虔な「三拝」(天地、父母、夫婦を拝すること)、独特な交杯酒など思い浮かぶことであろう
中国では、宗教性の強い挙式は存在しない。結婚式と言えば披露宴が取り上げられている。具体的にいうと、閙洞房の儀式には、騒ぎを通じて新婦と新郎の親族とを打ちとけさせる意があると同時に、娘から主婦へと役割転換した新婦に、一人前の嫁として家族、宗族、親戚および周りの人々とつきあうのに必要な度胸と忍耐力を身につけさせようとする意もあるものと思う。また、同じ「閙洞房」の儀式でも、農村の「閙洞房」は、親族集団に加入したばかりの者に対する教育を儀式化したものであった。一方、都市部の「閙洞房」においては、本来の新婦に対する教育としての意が失われ、新郎新婦と双方の友人とのその後のコミュニケーションを円滑にするための儀式になっている。
特に最近の中国の若い女性の間では、純白の結婚衣裳のほうが批判が良いようである。儀式が終了すると、祝賀宴と言うものが行われることとなるが、新婦は一度退場して、お色直しをして再登場し来客をもてなす。新郎新婦は各テーブルを回って挨拶し、酒とタバコを勧める。なお、中国の結婚式においては、ケーキカットの習慣はあまりなく、豪華な引き出物も一般的にあまり存在しない。また、新婚旅行が省略されることも多く、結婚式終了後に新婚旅行に出発する新郎新婦を見送るといったパーターンも中国ではあまり見られない。
2.2 結婚式における日本の習俗
日本古代における婚姻儀礼を明確に記している史料は、わずかに残存しているのみだという現状のなか、戸婚律などの律令の規定は、当時の社会実態から離れた空文であろうとみなされている。しかし記紀をはじめとして、『万葉集』や『風土記』や『日本霊異記』などの文学作品を通じて、古代社会の男女関係・婚礼風習などを多少窺うことができる。