つまり、教師は、自分中心に授業を進め、学習者はただ黙ってそれを受け容れればよかったわけである。ところが、この指導案から分かるように、授業は明らかに学習者中心へとシフトし、変貌を遂げているのである。もちろん、教師は学習者の傍らで状況を見るだけで、連続して話し続けるわけではない。逆に学習者が教える立場、つまり「教師」になったのである。学習者は自分なりの任務・責任があり、全員が授業の推進者・主体者になったわけである。学習指導案を作成する際、「全員参加」を念頭に置くとともに「学習者中心」への配慮が強く求められているのだといえる。
2。2 日本の場合
指導目標
1文書表現に注意して、心情を積極的に表現しようとしている。(関心、意欲、態度)
2表現の仕方や文章の特徴に注意して、主体的に読み深めることができる。(読むこと)
3文章を読んで、人間社会について自分の考えを持つことができる。
第1時
1作品を読む
2作品の感想を書く
印象に残ったことや疑問に思ったこと
表現の特徴
第2時
1場面分けをして各場面の内容を確認する
時の推移に注目した場面分けの内容を確認する(第1から第4場面)
あらすじの把握
登場人物
第3~5時
1既習事項の確認をする
主題を考えるポイント
2主題に迫るように読み深める
直接な心情表現
間接な心情表現(会話、行動、表情、情景描写などから)
「閏土」と「楊おばさん」の昔と現在の人物像の比較
「閏土」と「楊おばさん」の変貌の理由
「私」と「閏土」の関係の変化
「水生」と「宏児」の関係
旅立ち時の「希望」
第6時
1主題を考える
2「語り」原稿を作る
主題を生かし、文章表現に注意した主人公の心情
第7時
1「語り」発表会を行う
2自分の考えをまとめる(社会と人間のあり方様な語句について理解を深め、文章の中で適切に使うことができる。
この指導案によって、授業する時に、当時の中国の社会状況を認識させ、それを踏まえて、登場人物の心情を読み取らせることに重点が置かれていることがわかる。そして、生徒に読み取らせたり、考えさせたり、話合わせたりする時間が多いであることもわかる。この問題については学習指導案を作成する際、学習者の感想、意見などへ配慮が重視されていることが明らかになる。
3 中日の学習指導案の比較考察
3。1 共通点
中日それぞれ学習活動には、いくつかの共通点を窺い知ることができる。まず、文章の構造、人物像の分析、小説主題の理解などである。そして、教師は学習者に具体的な宿題を出すこと。それから、時代背景を紹介すること。(中国では、授業の初めに紹介するのに対して、日本では、読解途中に説明する。)また、授業が終わった後、学習者を啓発し、魯迅のほかの作品を読まさせ、魯迅の思想を深く探求させることもある。
3。2 相違点
中国の場合には母語の教材として、「新出語彙の習得」、「肖像、動作、言語などの描写を通じて、人物の描写方法」、「段落分け、要点を取る」、「言語の魅力の吟味」、「文章作法の習得」などが重視されている。これは母語文章の学習の利点である。来*自-优=尔,论:文+网www.youerw.com