また、杉戸(1992)は、言語そのものについての評価意識は、それ自体言語についての情報であると同時に、その意識が言語変種や言語行動の選択を左右する要件として働くものであるとし、社会言語学的な関心もこの点を巡って集中していると指摘している。また、言語評価のほかにその言語変種を使用する態度も言語行動に影響を与えることはしばしば指摘されいる。

2 調査概要

2。1  アンケート調査の内容

 本アンケートは中国・江蘇省にある淮陰師範学院外国語学部日本語科に在籍している一部の大学生を(130人)対象に、2016年4月8日に調査票を配布し、同月20日に回収を終えた。回収した調査票130枚のうち、無回答や一部しか回答しなかったものを除き、有効票は125枚となった。

  本アンケートは習得度差の観点に着目して日本語専攻大学生の日本語学習意識を明らかにするため、アンケート調査の質問項目は統一されていない。本アンケートの主な着眼点は「日本語学習動機」、「授業への態度」、「日本語意識」、「日本語能力」、「大学当局への要望」の5つである。その中、習得度に直接に関わりのある項目は「日本語意識」、「日本語能力」、「日本語学習動機」の3つの他、四年生は授業がなく、主に就職や進学準備に取り組んでいるため、「授業への態度」という質問は外して、習得度に直接関係のない「大学当局への要望」という質問項目を設定した。さらに、一年生の多くは初心者であるため、「日本人の先生とどれぐらい交流できるか」という質問はしていない。

 質問項目は以下の通りである(アンケートの全内容は末尾の資料参照)。

○ 属性性別、学年、日本語学習歴※

○ 質問項目の分類

 日本語学習動機に関する項目・・・・・・・・・・・・1項目

 授業への態度に関する項目・・・・・・・・・・・・・2項目

 日本語意識に関する項目・・・・・・・・・・・・・・2項目

 日本語能力に関する項目・・・・・・・・・・・・・・3項目

 大学当局への要望に関する項目・・・・・・・・・・・3項目

                     合計 11項目

2。2 アンケート集計結果の概要及び分析の方法

はじめに回答者の属性を解説する。男女比は男性7%、女性は93%(以下を含め、全体比率を示す場合、小数点第二位以下は切り捨てた)と、女性の占める割合が高かった【表1】。これは中国の大学における外国語学部全体の傾向であり、本学院の日本語学科も例外なく女性が多数を占める。また、対象者は全部学部生で、各学年の対象全体に占める割合は【表2】の通りである。さらに、日本語学習歴を示すのは【表3】である。かかる事情に配慮した上で、日本語・中国語版の調査票をそれぞれ用意し、初学者に対しては中国語版を配布した。また、四年生に対してはインターネットで調査票を作成し、そのままネットで配布した。

【表1】性別            【表2】学年別回答数          

性 別 人数 比率 学年 人数 比率

 女 116

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