筆者自身も日本語を勉強している時、指示詞の使用規則が十分に把握できていないため、よく指示詞に関する使用ミスをした。周りのクラスメートや日本語を勉強している友達などに聞いてみると、どの指示詞を使うか、誰もはっきり言えない状況が殆どである。この現状に関してまた先生方に尋ねてみると、指示詞に関する誤用は決して珍しくない。また、現場指示と非現場指示という二種類の指示詞使用では、非現場指示の誤用率がより高いようである。论文网
以上、筆者自身の日本語の勉強経験により、今回の論文に、このテーマを選んだものである。
本稿は市川保子(2012)の『日本語誤用辞典 外国人学習者の誤用から学ぶ日本語の意味用法と指導のポイント』での指示詞誤用例より問題を作り、アンケート調査をデザインし、ネットでアンケートを行い、その結果を整理し、先行研究と文献を踏まえて分析した。その結果により、中国人日本語学習者の、指示詞の非現場指示用法の誤用傾向が分かった。これらの考察を通して、日本語教育の面で指示詞の体系的な指導に役立つことを期待する。
2。 先行研究
2。1日本語指示詞に関する先行研究
日本語指示詞に関する先行研究は多いが、ここでいくつかの例を挙げたいと思う。
まずは日本語指示詞の機能に関する先行研究である。
佐久間(1983)は、それまで、いわゆる代名詞の一種として扱われていた指示代名詞を、指示するという機能を果たす語類を一まとめにして「コソアド」と命名した。そして、話し手からの距離の違いで「コ・ソ・ア」の区別を置く考え方に異論を唱え、人代名詞(自称、対称、他称)や話の現場(場面)と関連づけ、三項対立の「なわばり」(勢力範囲)の区分を唱えた。
指示詞は日本語会話と文章理解に欠かすことのできない品詞である。よって、さまざまな日本語の試験で、指示詞に関する問題が必ず出されている。しかし、中国の日本語文法書や教科書などでは、指示詞の非現場指示用法の説明が足りず、日本語学習者は指示詞の非現場指示の使用がうまくできなくて、会話も作文もよくミスをする。郝(2008)によると、「こ」系は①話し手がこれから話題になることを指示しているときに使う。例えば、「ねえ、この話知ってる?佐藤さん結婚するんだって。」という文の「こ」はこの使い方だ。この状況で、「そ」系と「あ」系は使えない。また、「こ」系も②今話題に出ることを指示しているときに使える。例えば、「人は青春時代に対してある種類の感慨を持つ。これは、もう二度と帰らないものだという愛惜の気持ちがあるからだろう。」このとき、「そ」も使えるが、「あ」系は使えない。「そ」も二つの用法がある。①は「こ」系の②と同じで、今話題に出ることを指示しているときに使える。例えば、「人は青春時代に対してある種類の感慨を持つ。それは、もう二度と帰らないものだという愛惜の気持ちがあるからだろう。」②は話し手が相手から聞いた、自分がよく知らない内容を指示している時使える。それから、仮定のことも「そ」系を使う規則がある。「あ」系に関する用法は、郝(2008)によると、まずは①話し手も聞き手もよく知っていることを指示していることを指す時は「あ」系が使える。もうひとつは②記憶の中にあることで、話し手が悲しいなど懐かしいなどの感情を持つとき使える。例えば、「小さいときは鹿児島で過ごした。あのころが懐かしい。」という文がこの用法だ。もしもっと客観的に言いたいとき、ここで「そのころ」を使っても大丈夫だと述べた。以上の日本語指示詞に関する研究は多いが、指示詞の誤用に関する研究の数も目立つ。