川端康成の女性観についての研究は少なくない。しかし、多くの研究は戦前小説に限られ、戦後小説中の女性についての検討は決して十分とは言えない。原因がはっきりしないが、「東京の人」を研究する論文は数本しかなく、直接女性像、女性観を論じたものはないと言えよう。本稿では、「東京の人」の三人の女性を対象として考察する。これにより、川端康成の戦後長編小説「東京の人」への理解がさらに深まるものと思われる

1。2先行研究

周密「美丽与悲哀-川端康成笔下的女性人物形象分析」と邓雪玲「日本文化与川端康成笔下女性的爱情命运]二つの論文では、川端康成が少年時期両親とも死に、姉も彼と一緒に生活しなかったため、青春時代の女性と接触する機会が少なかったと述べた。そのせいで、川端康成の小説には繊細な描写と伝統的な古典美意識の描写が多い。戦後、川端康成の小説は戦前のように下層社会の女性を主人公として創作されるのではなく、中産階級の女性の生活を描写する作品が多い。この変化について、何乃英「川端康成笔下女性形象的嬗变」では「戦前、川端康成は青年作家に過ぎず、収入が少なく食費もないほど、悩む時はいつも浅草などの貧しいところに行っていたため、接触するのは踊り子など下層社会の女性であった。しかし、戦後、川端康成は有名な作家になり、中産階級の人と接触する機会も多くなったため、中産階級の女性を描写する作品が増えてきたのも当たり前だ。」と述べている。何乃英の意味は、川端康成の戦前の作品の大部分が下層社会の女性の生活を描写している原因は、川端康成が下層社会の女性が好きだからではなく、自分の生活環境の変化が原因である。生活の環境が変わると、好きな女性が変わる。周密「川端康成“中间小说”女性意识解读」は川端康成の戦後小説について、多くの評論を発表した。この文章は二つの方面から男性主導社会への批判を分析している。一つは男性の性格の短所である。敬子の夫が戦争で死んだ後、彼女は病気になった妻と別居している島木と同棲する。島木は生活費を払わないだけではなく、敬子が自分で買った家を売って彼を貢がせたい。お金がないから、会社が倒産して島木は毎日酔い、家に帰らない。敬子は生計のため、毎日必死で宝石の商売をやる。敬子は島木の病気になった妻の医薬費も払うが、臆病な島木は敬子と同棲していることを妻に伝える勇気もない。一方、朝子の夫小山は朝子を妊娠させ、流産させ、妊娠させ、流産させる。わがままな小山は朝子の仕事を支えず、お金のために朝子に嫌い仕事をさせる。もう一つの批判は女性意識の覚醒である。朝子は小山のわがままに我慢できなくなり、自分の夢と幸せを追うため、思い切って彼と離婚する。周密は[東京の人」からみると、川端康成が男性主導社会への批判を持っていると主張している。周密「川端康成“中间小说”女性视域下的男性形象」では、戦後伝統的な女性観念に多くの疑問が浮かび上がり、それが川端康成の作品に影響を与えると述べている。[東京の人」の中の男性の二人、島木と小山、島木は臆病、小山はわがままだ。二人とも夫と父親の自覚がない。この文章は戦後川端康成作品の中の男性の性格の短所を分析した。そして、男性臆病の性格に対して女性が強くなるということを分析した。文献综述