この論文は、筆者の故郷「吉林省」と留学先の「山梨県」を例にして、自然資源など、似ている地域を比較し、中国人があまり使わないマスコミで、気づかない魅力的なところを発見したいと思う。
山梨県は、首都圏から90分という近距離にあり、大自然に恵まれた地域である。霊峰富士山をはじめ南アルプス連峰、八ヶ岳、芽ヶ岳などの日本の名山が連なり、富士山系と三ツ峠系からなる名水、湯量豊富な温泉、富士山北麓に形成された5つの湖など、美しい景観が楽しめる。山梨県に行く人の主な目的は、「観光」が94。0%を占め、観光産業は山梨県の重要な産業の一つと言える。
吉林省は豊富な観光資源に恵まれ、美しい自然の景観が多く存在する一方、歴史的文化財にも特色があり、魅力に溢れている。例えば、「中華十大名山」の1つである長白山、世界文化遺産として認定された集安高句麗古跡、満州傀儡政権皇宮博物館、中国最大の映画テーマパークである長影世紀城などがある。しかし、吉林省は、有名な観光地として認知度がそう高くなく、観光産業というイメージも弱い。現在、観光客の集客を目指し、全面的観光産業発展計画を実施し、観光資源の開発・投資を強化している。2014年6月14日には「吉林省委吉林省人民政府关于加快建设旅游支柱产业的意见 」を発表している。よって、このタイミングで、山梨県との対照研究は必要があると考えた。
1。2「観光産業」とは
観光産業とは、経済的な利益を得ることを目的とし、観光客に対し、財やサービスを提供する企業、業種の集まりのことで、単一業種を指すのではなく複合的な概念が含まれる。
1。3観光産業の構成業種文献综述
観光産業の構成業種とは、観光に関する産業をすべて含む。簡単に説明すれば、海外旅行に行く場合を例として、まず、「旅行業」に頼んで、ビザを作る必要がある。次に、旅行先に行くとき、「交通運輸業」を利用しなければならない。そして、飛行機で、旅行先に到着し、そこで風景を見たり、買い物に行ったり、何かを食べたりするかもしれない。それに対応して、「飲食業」と「製造業」が観光客の需要を満たすことができる。一日の最後で、最も必要なことは「宿泊」と言える。「宿泊業」が繁栄すれば、様々な宿泊所が提供され、自分の条件にあった宿泊所を選ぶことができる。「宿泊業」だけではなく、旅行に関する産業が繁栄すれば、観光客にとって、旅も簡単になるし、政府側にとって、地域振興の手段になる。
以下の図1では、需要と供給から、観光産業の構成業種を説明する。
1。4旅行市場(マーケット)の区分
旅行形態別による旅行市場を区分する。
(i)個人旅行
(a)(小学生、中高生連れ)家族旅行
家族旅行は子供の楽しみを中心に計画されることが多く、このマーケットはテーマパークや自然の中での遊びを重視している。ホテルや旅館以外の宿泊施設の利用が多く、旅行業者利用率が低い。更に旅行消費単価が低いといった観光産業への低依存度に特徴がある。また、旅行実施日が週末や夏休みなどに限られる。
(b)(子育て後)夫婦旅行
一人当たりの旅行単価が高く、平日出発の比率も高く、ホテルや旅館への宿泊比率も高い。マイカー利用率が低く、公共交通手段の利用が高いという特徴がある。