2。2。2「敬語の性質」による敬語の11分類
敬語の性質には、次のような7種のものがある。1.(動作の主体を、動作に関係する人物を、事物を)高くする/高くしない;2.動作の主体を、動作に関係する人物を、事物を)低くする;3.恩恵の授受;4.改まり;5.丁重にする;6.美化する;7.丁寧
にする。
そして、『敬語コミュニケーション』(蒲谷宏2010)では、敬語の性質によって、敬語を11種類に分けて整理している。なお、次の表で、11分類と5分類(「敬語の指針」)を対照したものである。
〈敬語分類表〉
敬語例 11分類とその敬語の性質 5分類
おっしゃる・
お書きになる 直接尊重語
動作の主体を高くする
尊敬語
くださる 恩恵直接尊重語
動作の主体を高くする+恩恵
御社・玉稿 相手尊重語
相手に関するものを高くする
伺う・
お会いする 間接尊重語
動作に関係する人物を高くする+動作の主体を高くしない
謙譲語Ⅰ
いただく 恩恵間接尊重語
動作に関係する人物を高くする+動作の主体を高くしない+恩恵
いたす・参る 丁重語
動作の主体を高くしない+改まり
謙譲語Ⅱ
(丁重語)
弊社・拙稿 自己卑下語
自分に関するものを低する
ご説明いたす・
拝見いたす 尊重丁重語
動作に関係する人を高くする+
動作の主体高くしない+改まり 謙譲語Ⅰ
+
謙譲語Ⅱ
(丁重語)
お天気・お弁当 美化語
言葉をきれいにする 美化語
です・ます 丁寧文体語
文章・談話全体を丁寧にする
丁寧語
でございます・
であります 丁重文体語
文章・談話全体を丁寧にする
敬語の分類については、これ以外にも、2分類、4分類など様々な整理が行われている。しかし、分類すること自身が目的ではない。分類することによって、敬語を深く理解し、敬語コミュニケーションをよりよくするのが、本当の目的である。文献综述
3.敬語意識と敬語使用現状
3。1大学生の敬語意識・敬語使用に関する調査
日本人学生と留学生の敬語意識と敬語使用の現状を理解することで、日本語学習者の敬語コミュニケーションにおける問題点を明らかにするために、筆者は「大学生の敬語意識・敬語使用に関する調査」を行った。調査の対象は活水女子大学の日本人学生25名と留学生20名(現代日本文化学科在籍、二年半以上の日本語学習の経験がある留学生)である。有効な回答者数は45名であった。以下では、調査の結果について報告する。