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第一章 目取真俊と『水滴』
1.1目取真俊
目取真俊は日本現代の戦後派の有名な作家である。冲绳文壇の新生の力として、大きな期待と注目を寄せられている。1960年に沖縄国頭郡今帰仁で生まれの目取真俊は、実際の戦争を経験したことがない新しい世代の作家である。 独特の視角によって、多くの沖縄戦に関する記憶を主題とする作品を創り出した。文壇において注目され始めた。沖縄県立北山高等学校を経て琉球大学法文学部を卒業した後、期間工、警備員、塾講師などを経て県立高校の国語教師を務めたが、2003年に退職した。現在小説家、評論家として活躍している。1983年に、沖縄のパイン工場で台湾女工が差別待遇された事件を描いた『魚群記』は琉球新報短編小説賞を受賞しデビューした。それ以来、1986年、戦争を暴き出して天皇制を批判した小説『平和通りと名付けられた街を歩いて』によって、第27回新しい沖縄文学賞を受賞し、沖縄文壇で頭角を現した。十年後の1996年に、彼の短編小説、戦争記憶を描いた『水滴』が第27回九州芸術祭文学賞受賞の後、「文学界」1997年4月号に掲載されることになり、そして、1997年に第117回芥川賞を受賞したのである。これによって彼は沖縄から日本の中心文壇に登ったのである。沖縄文学の代表的な作家の一人になった。
それ以来、目取真俊は「水滴」の主題と一貫する多くの作品を発表し、日本文壇に沖縄の声を伝え続けている。2000年に、『水滴』のテーマの後、『魂込め』で木山捷平文学賞と川端康成文学賞を受賞した。さらに、2003年に、「風音」という中編小説が『風音The Crying Wind』として映画化された。 評論家たちによって目取真俊は21世紀に最も潜在能力がある作家だと思われている。現在、沖縄文学の新しい道を切り開いている作家として文壇内外で大きな注目と期待を集めている。
1.2『水滴』
『水滴』は「水滴」（1997年）、「風音」（1985～1986年連載）、「オキナワン•ブック•レヴユー」（1997年）という三つの作品で構成された。目取真俊の初の短編小説集である。表題作である「水滴」と「風音」の二作品は沖縄戦とそれをめぐる諸問題を現代に及ぶ即座で捉えている。「オキナワン•ブック•レヴユー」は書評という形を取りながら、今日における沖縄の置かれている状況及び将来に渡って歩むべき道を模索している。
これら三つの作品は沖縄の過去から現代までの諸問題に焦点を当てるという共通点を持ち、また、これ以外にも三つの作品を貫く要素として、非現実的、幻想的な表現方法と作家独特のユーモアとをあげることができる。
ここでは、『水滴』に絞って目取真俊の小説世界を考察したい。
『水滴』が読者の注意力を引くのはまず身体の変形という発想である。話の展開に連れて、変形が沖縄戦争に関する記憶の膨張だとわかった。現代小説の中で、体の異変を描写する作品は珍しくなかった。目取真俊は主人公徳正に身体全体を動物異変化させるのではなく、身体の一部である右足だけを膨らませ、植物の冬瓜に異変させたのである。読者はまずこういう荒唐無稽、奇想天外な物語に好奇心を惹かれるのであろう。