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次に『産業観光読本』注２）により、産業観光を推進する主体は様々であり、特に観光客を受け入れる施設や企業については大企業から民間小企業までに渡る。他には、産業観光受け入れを計画する自治体、政府推進団体(観光協会、商工会議など)、地域住民及び関連の民間団体（NPO、ボランティア団体など）がある。
さらに、産業観光の観光資源は様々な種類がある。例えば、産業の歴史を伝える産業文化財、高度な技術と現代的設備を有する産業現場、農林水産業の現場、鑑賞価値のある産業製品などである。この中で、産業遺産、日々生み出される製品の生産現場、新しい産業が生まれる生産現場を代表として、産業物造りの過去と現在、未来を描き、観光客が学びと遊びのバランスを良くとれるようにする。そうすることで、モノ作りの大切や産業発展の歴史を次世代に伝える。
そして、産業観光の目的は、企業が産業観光を推進する目的と観光客の目的を合わせて、分類される。例えば、一般観光型、工場見学型、産地振興型、人材育成型などである。
産業観光はこれ以上に様々に分類されているが、企業は自身の目的による産業観光を推進する。
産業観光の意義と魅力は、企業や地域、観光客によって異なる。産業観光を通して、企業は消費者の信頼感を醸成、消費者の声を直接聞き、商品を改善、企業のイメージを上げ、将来を負う人材を育成することなどができる。また、地域に対する、交流人口が増大することで、地域の観光業や経済を振興できる。住民や政府、企業のつながりが強くできるなどの多数のメッリトがある。来訪者にとって、自分の知的欲求の充足、ものづくりを体験することなどができる。
そこで、近年、日本は観光立国実現に向けての『観光立国行動計画』に掲げている「一地域一観光」国民運動の一環として、地域活性化に資する産業観光を取りあげた。
２. 山梨県葡萄·ワイン産業観光
2-1.山梨県について
山梨県は、本州の内陸部に位置する、日本の県の一つである。海洋国家といわれる日本において、内陸側に位置する数少ない県である。山梨県の面積は全国32位であるが、その８割を山岳地が占めるため、可住地面積は全国45位である。南に富士山、北に八ヶ岳、西に赤石山脈、東に奥秩父山地など、山々に囲まれる。気候は山地によって隔てられ、地域差も大きい。盆地部には、夏の暑さと冬の寒さがともに顕著で、冬の季節風が強いが、降雪は豪雪地帯の南アルプス市と早川町を除いてわずかである。年間降水量が少なく日照時間が長く、台風の通過経路でもあり、しばしば集中豪雨に見まわれる。山麓地域では盆地部より気温が冷涼で、降水量も多い。このため、盆地周縁では冷涼な気候に向いた葡萄の栽培が盛んでいる。
山梨市人口ビジョン注３）によると、山梨市では戦後、人口減少が続いていたが、1960年代後半から1990年代後半にかけて、一定の人口水準を維持したものの、2000年代以降から人口減少が始まり、今後はさらに減少が加速する見込である。生産年齢人口の減少については、2000年代前半からの市内雇用状況が悪化し、今後も減少が続くと考えられる。年少人口は、1960年代以降、長期的に減少傾向が続いており、1990年代中期には、老年人口を下回り、少子化に回復の兆しは見えない。大学等への進学に伴う東京圏を中心とした都市部への転出のため、10代後半から20代前半の年齢層において大幅な転出超過となっている。50歳代から60歳代の退職年齢において、若干程度の転入超過となっているが、退職に伴い、ふるさとへ戻るケースや、スローライフを求めて山梨市に居住地を移すケースもあると考えられる。様々な原因で、山梨県の人口がますます減っている。