現在まで、中国における食品安全についての研究は非常に多い。陳巧玲とそのグループが研究した作品「中国の食品安全記録書類」の中に、中国で発生した一部の食品安全事件の関連ニュースと研究報告がまとめられている。また、石敏俊は食品安全問題が人々の命の安全に関わっていると喚起し、日本における輸入食品に対する安全管理体制と中国への示唆を書いた。そして、高琦、趙璿は日本における最近数十年に発生した食品安全事件を発生要因として簡単に分類し、問題が発生した原因を深く分析している。汪江連も中国が日本の食品安全制度の変遷から得た示唆について検討した。
本論文はまず日中における食品安全の現状に対して客観的に分析する。そして、食品安全事件が発生した原因を分析し、解決方法を提案する。
2 中国の食品安全管理
2.1中国における食品安全事件の頻発現状
近年、中国で食品安全事件が頻発した。わが国の食品衛生法(1995年)の規定によると、食品添加剤(違法添加剤に同等しない)は食品の色、香り、などの品質を改善し、及び防腐と加工の必要により食品に入れた人工で合成されたもの、あるいは天然の物質である。現在、食品添加剤には大きな問題がある。例えば、生産地が不明、または材料が不当で、最も問題が出やすいのは濫用である。2006年、スダンⅢ、2008年、メラミン、2009年クレンブテロール、2010年地溝油、2011年染色饅頭、ラブレムコ末、毒もやし、可塑剤、2012年靴で作ったカプセル、人工の豚耳、「農薬残留」のお茶、フォルムアルデヒドのある白菜、硫酸銅のあるニラなど。一連の事件は重大な危害を引き起こした。最近、「0.5元食品」に対して特定の抜き取り検査を行った。その結果、201ロットの「0.5元食品」のうち、48ロットが不合格で、不合格率は23.9%であった。
次に、自分が生産した食品を食べる勇気がないことである。商人が生産したものには偽物があり、農民自身が食べる野菜には農薬を使わないので、消費者は「見えなければいやな思いをしない」。しかし、短時間では体の健康に影響を与えないが、長い時間が経つと、累積した毒素は病気を引き起こす。生産者にしても消費者にしても食品安全に責任を持たなければならない。
そして、食品安全事件は頻繁に発生する。社会道徳が日増しに衰退し、人と人の間に普遍的に信用が欠けているので、「責任を持たない」現象はきわめて見慣れていった。商工局、衛生防疫センター、技術監督部門が検査に来る前に少し清掃するが、帰ったらすぐ元の様子に戻り、監督もただの形式となった。
食品安全において、誰も離れ島ではなく、誰も独りよがりになれない。中国の食品安全の現状は楽観的ではない。世界で有名な品質管理の大家J.M. Juran博士はかつて、「21世紀は品質の世紀です。中国企業の消費者や市場からの信頼度が下降したので、必ず市場に淘汰されます。」と言った。日本共同社の報道によると、日本観光庁が発表した当日の調査の結果、2012年日本に来た中国人観光客の消費(買い物、飲食と宿泊を含む)総額は2688億円(約170億人民元)に達し、各国及び各地域の第一位になったそうである。そして、中国は三年間続いて当該調査の首位を占めている。中国人観光客の購買力は非常に高く、日本での旅行に対する満足度もきわめて高い。中国のぜいたく品と最も普通の商品は外国と比べると、より大きな差があるが、日本の商品の価格も品質も中国人の注意を引き、高いコストパフォーマンスも日本における中国人の消費が増加した原因である。実際に、第二次世界大戦前日本の商品の品質は非常に悪く、当時、国際市場では「東洋製品は劣等品」という観念が形成された。第二次世界大戦以降、日本の企業は商品の販路を開くため、商品を「企業の生命」、「国の盛衰にかかわること」と見なし、何十年もの努力を通して、やっと日本製品の品質が最もいいというイメージを確立した。品質がよくて値段も安いことから、日本の工業製品はかつて工業時代において誰も及ばなかった。現在の中国において、企業と国全体の根本的な欠陥は信用不足―さまざまな面の信用である。このような状況を逆転するため、最も重要なのは信用を再建することである。まずは製品の信用で、いわゆる製品の品質である。現在、国内企業は民族ブランド、国産品ブランドがますます打ちたてにくいことを普遍的に感じている。その理由は国産品の品質がまだ悪いからである。これらの企業はいつもただ民族ブランドを一つのセールポイントとして設計しているが、真に製品の品質を向上させ、アフタサービスを改善するなどの実質的な内容を行い、国産品に自らの地位を打ちたてる企業はきわめて少ない。また、大多数の企業は国産品の信望と品質にまったく注意せず、さらに、一部の企業は専門に偽物を作り、国産品のわずかなイメージを破壊する。