『日本癒し系の文化分析』(『南昌教育学院学报』)では、癒やし系文化は日本人の自然崇拝の思想と心の不安感を反映しているという結論を出した。『癒やし系おもちゃのデザイン』(大舞台 双月号)では、癒やし系おもちゃはOL向けで、デザインの理念は優しさと静かな感じと楽しさであるという結論を出した。なお、『日本动漫中治愈系现象的呈现研究』では、癒やし系アニメのキャラクターの設定について、詳しく解説した。まずは、主人公は大体平凡な一般人で、視聴者に近いから、共鳴を感じやすい。そして、人と人、人と大自然の共同作業が強調されている。アメリカの漫画のようなヒーロー一人が世界を救うということではなく、人と人、大自然の助け合いで、皆が救われる。最後は、「萌え」という設定である。人や動物の見た目や言葉、行動などが可愛くて、視聴者の心をつかむようになる。
本稿では、三つのアニメ作品を具体的に分析し、癒やし系アニメーション作品の特徴を説明し、更に日本ならではの癒やし系文化の形成と発展の原因を研究したいと思う。そして、グローバル化の発展とともに、日本の癒やし系文化は世界にどんな影響を与えているのか、わが国のアニメ産業がそこからどんな経験が学べるのか、自分なりの発想を語りたいと思う。
2 癒し系源'自:优尔`!论~文'网www.youerw.com
2.1 癒し系の基本概念
「癒やし系」は、1999年後半、すなわちバブル崩壊後の1997年に日本の消費税5%の増税とアジア通貨危機の発生で大不況が更に深刻化したことがきっかけで、国民の心が荒れたり病み始めた頃から現れた言葉で、もともとはテレビに出演する女性芸能人において、和み、癒し、安らぎを感じさせるような人物及びその振る舞いを指す。
始まりは飯島直子が出演した「ジョージア」のCMの姿を指して使われた。1999年以前は「癒し系」という言葉ではなく、「ジョージア」のCMでも「安らぎ系」と言われていた。大きなきっかけとして、1999年にミュージシャンの坂本龍一が発表した曲「ウラBTTB」が癒し系音楽として大ヒット、さらに、ヒーリング楽曲を集めたオムニバスアルバムの「feel」シリーズや「image」シリーズも大ヒットして「癒し系」ブームになり、それ以降は人物などに対しても、癒し系と評されることが増えていった。2000年代には男性にも使われるようになり、優しくおっとりとした雰囲気をもった一部の男性アイドルや俳優などが「癒し系」と称されることもある。小学館のOL向けファッション雑誌『Oggi』は、癒し系の特徴を持つ若い男性を「モイスチャー男子」と命名した。Oggiの定義によれば「純粋でひたむき。恋愛対象ではないけれど、一緒にいると安らげ、時にはキュンとする」男性のことであるという。
2.2 癒し系の発展と類別
日本の癒し系は、音楽領域から初めて、映画、文学、漫画などの領域に発展してきた。吉田亜紀子(KOKIA)、豊崎愛生、宮崎葵、綾瀬遥などが代表歌手と俳優である。文学(ライトノベル)領域には、『人類は衰退しました』(田中ロメオ)、『神様のメモ帳』(杉井光)、『シゴフミ―Stories of Last Letter』(雨宮諒)などの作品がある。そして、映画のほうも『花とアリス』や『下妻物語』、『犬と私の10の約束』などの代表作がある。