1.2先行研究

『細雪』は、谷崎の夫人松子の姉妹がモデルとして書き進められた谷崎文学の一つの記念碑的な作品である。でも、素朴な日常生活描写はこの小説を風俗小説に見做された。嬉しいことに、研究者たちは小説の中に隠された美意識や理想主義を発掘してくれた。今までもう大量な成果が出てきたのである。

2011年において、兵庫教育大学大学院の楊蕾における学位論文は「『細雪』における妙子像――モダンガールに見る自由」というテーマとして、筆を執った。まず、「モダンガール」に造型された妙子や洋服における妙子の自由追求、さらに職業選択における妙子の自由追求、恋愛における妙子の自由追求だという四節によって、「モダンガール」妙子の自由追求を考察する。次は「モダンガール」のタイムラグを研究する。それは以下の三節から進める。一番目はモダンガールの出現及び「モダンガール」なる語の由来だ。二番目は「検閲」と『細雪』の成立である。三番目は妙子に象徴される「自由」である。最後は「思想性」に関する先行研究、「家長」の「不在」から保証されたものならびに『細雪』に見る「思想性」だという三つの面を通じて、論じる。

また、日本では伊藤整 と浅見淵 の論説が有力で、以後の研究は大抵この二人の論点を基礎として発展しているわけである。

「海外での谷崎研究――ブダペスト会議報告をかねて」という文の中で、日本人による谷崎研究と、非日本人による谷崎研究が、ますます相互に刺激しあっているということであると言及した。 そのうえに、西洋での谷崎研究はいわゆるジャパノロジーからジャパニーズ・スタディーズへと変貌し、一方日本側も、国民文学の研究たる国文学から、世界に惹かれて日本文学の研究へと向かっているとまとめた。论文网

『細雪』は谷崎の妻松子夫人の四人姉妹をモデルとして書かれ、三女雪子の五回にわたる見合いをめぐって物語が展開する。もともとは谷崎は「上流階級の、腐敗した、頽廃した方面を描くつもりであった」が、時局の関係で「そういう題材を選ぶことが危険になってきたので、已むを得ず彼らに睨まれないような方面だけを書くことになってしまった。『細雪』という題はそうなってから、雪子を女主人公にするつもりで思いついたのである。谷崎にとって、重子は「今にも誰かに汚されそうでいて微塵も汚れに触れることなく生きている」女性であり、「私はいつも彼女と談話を交す時は人知れず心を使い、なるたけ機嫌を損じないように、気むづかしい彼女の気に入るようにと努める」。このように、戦争の影響で重子こと雪子が『細雪』の主人公となり、作品に欠かせない重要な存在となった。谷崎は日本の伝統的な女性像を雪子に託して、自ずからの「永遠の女性」として描いたと考えられる。 

中国において、朱憲文 は『細雪』の女性像及び桜というイメージから「平凡で永遠な美意識」を発現した。武鳳娟 と路娴 はそれぞれ四姉妹の人物像や日常生活を分析して、女性美及び和式伝統美を窺った。傅美蓮 は妙子の人物像を研究して、近代日本女性の自立道路を探し求めた。趙薇 は主人公の雪子の人物像から日本の伝統美意識を、王星 は『細雪』その小説から日本近代家庭の変遷を窺ったことがある。

1.3研究意義

『細雪』は谷崎潤一郎が「古典回復」のピークに至る印として、谷崎文学の研究に対しては軽視できない影響を持っている。本論文は『細雪』の主人公である鶴子、幸子、雪子と妙子の女性像を改めて分析することで、新たな視点からこの四人の女性像を研究しようとする。これによって、更に全面的に人物像を把握できると楽しておる。そして、この四人の自我実現の過程が伝統美徳と現代美徳の対照する。そして現代女性の啓示ともなれるように希望しておる。

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