2  先行研究及び本研究の課題

2。1 モダリティとは

 我々は言語によって、とりどりなコミュニケーションをしたり、さまざまな思考活動を展開したりしている。その時、分からないものを推測したり、断定的に言い張りたり、事柄を質問したり、依頼をしたりする。そのように、さまざまな述べ方で文を作っている。言い換えれば、話し手が言語の行為をするなら、その事態にどのように把握するかということは必ず表現されなければならない。そして、文は二つの要素に分けられる。一つは、文の核心として述べる内容である事態だ。これは「こと」あるいは「命題」と呼ばれる。もう一つは、話し手の述べ方を表すことだ。これはモダリティと呼ばれる。

 益岡隆志はモダリティに関する概念が以下のように述べる。

 「モダリティ」という概念を規定するための基本となるのは、主観性の言語化されたものであるという見方である。言い換えれば、客観的に把握される事柄ではなく、そうした事柄を心に浮かべ、ことばに表す主体の側に関わる事項の言語化されたものである、という見方である。(益岡隆志。モダリティの文法[M]。 くろしお出版, 1991: 30。)

 しかも、日本語記述文法研究会が編集した「現代日本語文法4 第8部 モダリティ」と題をつけられた本の中に、記載されたモダリティの基本概念も並べようと思われる。

 モダリティが担うのは、命題が表す事柄的な内容に対して、話し手が発話時においてどのようなとらえ方をし、それを聞き手にどのような伝え方をしようとしているのかという、文の述べ方を決定する働きである。(日本語記述文法研究会編。 現代日本語文法4 第8部 モダリティ [M] 。 くろしお出版, 2003: 2。)

 本研究はモダリティが文に対する話し手の判断、表現態度などという主観的なものを表すことだと考える。また、本研究では「現代日本語文法4 第8部 モダリティ」に記載されたモダリティの分類、表現形式などの定めを使用する。

2。2 仮定を表す従属節とは

 仮定を表す従属節には、「バ」節、「ト」節、「タラ」節、「ナラ」節の4形式がある。各形式は複数の用法を持ち、さらにこの4形式が互いに取り替えられる場合もあれば、取り替えられない場合もある。日本語学習者にとって習得が困難ではないかと思われる。本研究は表現された事態が現実であるかどうか及び事態の依存関係がどうなのかという視点から、「バ」節、「ト」節、「タラ」節、「ナラ」節を以下のように分類した。

表1 「バ」節、「ト」節、「タラ」節、「ナラ」節の用法の違い

恒常条件:金持ちさえかなえば、自転車もくつも全部かなう。

反事実の仮定:毎日会えるようにしてあげればいいのにな。

既成事態:春になると、花が咲く。

未然事態:飴が早くしないと溶けるんだ。

タラ 反事実の仮定:火事になったのは悲しいけれど、永沢君にもしものことがあったらよけい悲しいよ。

既定事態:気がづいたら、目の前におかしい男が立っていたという状況でありました。

ナラ 仮定条件:もしも松葉杖が必要なら、いつだっても言ってくれよ。文献综述

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