四季の変化がはっきりするため、人は歳月が速やかに過ぎ去ることを想像して、それに、人事の異動から見て、運命の変わりを思い付く。人は生死に直面する時、生のため、死亡を尊重して、同じく、死のため、悲しくなる。自然美と神道を主体としての優美意識はこのような思想の影響の下で、更に深い意を現す。これは幽玄美である。
つまり、幽玄美は優美を基礎にして、仏教の死生観を結び付けて生まれた一つの審美意識である。
1.2幽玄の審美学
幽玄美は表面から見て、優美より意がもっと深い。幽玄は思想的に見れば、日本の神道の思想と関連がある。でも、仏教の死生観の影響を深く受けられた。幽玄美意識の中では時間という意識を含んで、幽玄美というのは主に歳月に流れ去った過程で体現している有限な美を表現した。だから、幽玄はいっそう余韻がありに見えます。幽玄美が表現したのは美しい自身ではなくて、美しさの深さと高さなのである。幽玄美は奥深い優美を代表している。その上、幽玄の「幽」は幽界を表して、幽玄の「玄」は入口を代表する。つまり、幽玄は幽界の入口をあらわせている。
人の誕生は死亡する開始である。人生は幽界に入った入口でいて、人の生命が有限である。死亡があるため、人は生に対する悲しみを思い付ける。このような思想がある優美は幽玄美である。
平安時代の著作『源氏物語』の中で濃厚な仏教思想がある。つまり、人生が虚無で、にぎやかなものも消えやすい。『源氏物語』の中で主に表現したのは物あわれの思想である。『源氏物語』の中で仏教と関連することを多く書いた。『源氏物語』の中に現された物あわれは幽玄美である。
日本の中世において随筆『方丈記』と『徒然草』は鮮明な仏教の思想を含んだため、隠者の文学と称させられた。二篇の随筆はすべて濃厚な仏教の無常観を表す。これも中世文学の特徴である。二冊の作品はすべて幽玄美を体現している。でも、両者が体現している幽玄は自分の個性がある。『方丈記』の中で、人の生死の無常および人生の短くことに感嘆している。全文は重苦しくて深幽な感情の基調を打ち立てた。
『徒然草』が表しているのは人生の無常に向かい合っている理性美である。『徒然草』は貴族の情趣を述べて、幽玄に古風の余韻を添加している。
能楽パフォーマンスの中で、幽玄美も体現している。能楽の演出の過程で能楽役者は心を持って出演する。能楽役者は音と動作を通して人物の喜怒哀楽を表現する。このようなパフォーマンスを通じて体現した幽深で含蓄な感情が余情を称させられる。このような余情を深く表すことで、幽玄美を現すことができる。
第二章 日本の古典的な象徴――能楽
2.1能楽の歴史
能楽の歴史は四時期に分けることができる:能楽の形成期、能楽の発展期、能楽の転型期、能楽の曲折発展期
能楽の形成期は奈良時代から鎌倉時代までである。
日本の能楽は中国漢時代の散楽までさかのぼることだと思う。散楽が日本に伝わってから日本の鎌倉時代までは能楽の形成期にあたっている。形成期の能楽は支配階級の貴族的芸能から大衆の民間的芸能への道を步んできた。
以前、日本は大陸の高い文明に憧れていて遣隋使と遣唐使を派遣した。大陸の文化と芸術が次々に日本に伝わり、散楽もその中のひとつである。
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