要旨種々の調査によると、現代や古代を問わず、日本語の語彙の中で動詞は大きな比重を占めている。現代日本語を、単純動詞と複合動詞に分けてみると、複合動詞の数は決して少なくないことが分かる。つまり、日本語の中では、複合動詞がよく使用されているということである。本論文では、「~だす」と「~かける」を取り上げ、二者の意と用法を考察してみたい。その上で、「開始」の意を持っている二者と中国語の“开始~”、“~起来”との比較も行ってみたい。47168
摘要根据不同的调查,无论是在现代还是古代日语当中,动词在词汇当中占了较大的比例。在现代日语当中,动词被分为单纯动词和复合动词,其中,复合动词也占了非常大的比例。也就是说,复合动词在日语中是经常被使用到的。在此背景下,笔者以日语中出现次数较多的「~だす」和「~かける」为例,对两者的意思和用法进行考察。在此之上,对于「~だす」和「~かける」都有“开始”的意思的特性,笔者也希望能够将其跟中文的“开始~,~起来”进行对比考察。
キーワード:複合動詞; 「~だす」「~かける」; 「開始」; 日中対照
毕业论文关键词:复合动词; 「~だす」「~かける」; 开始; 中日对照
目 次
1.はじめに1
1.1はじめに…1
1.2先行研究…1
2「~だす」の意と用法3
2.1移動を表す「~だす」…3
2.2顕在化4
2.3「開始」における「~だす」 4
3.「~かける」の意と用法 9
3.1 「指向」を表す「~かける」9
3.2「開始」における「~かける」 …9
4. 「~だす」/「~かける」と中国語の“开始~/~起来”との比較13
4.1「~だす」と“开始~/~起来”13
4.2「~かける」と“开始~/~起来”…15
注 釈15
参考文献…16
謝辞… 17
はじめに
1.1はじめに
日本人の言語生活の中で、使用されている動詞の約4割が複合動詞であると数々の研究で指摘され、その地位が極めて重要視されてきた。姫野(1999)は複合動詞には、日頃よく使われるような、比較的易しい語を組み合わせることによって、単純動詞では表し得ない様々な用法や表現を作り出す効果があると述べている。しかし、「動詞の連用形(ます形)+動詞」からなる複合動詞が文法形式と語彙の二重の性格を持っているため、日本語学習者にとって複合動詞の学習は困難であると思われている。特に、「~はじめる」、「~かける」、「~だす」のような意の類似した言葉はそれぞれの意がどのように違うか、どのように使い分けをするのかなどは学習者を悩ませる問題である。「~だす」と「~かける」による複合動詞が豊かであることと、「~だす」と「~かける」には開始のアスペクトを表すなど同一の用法が見られ、それに、様々な相違点も持っている、「~だす」と「~かける」の意を比較検討する必要があると思う。
以上のことを明らかにするために、筆者が色々の資料を調べてみたところ、日中言語学者は複合動詞「~だす」と「~かける」の意に関して既にある程度の検討を行っていることがわかる。例えば、日野資成(2002)は「複合動詞「~だす」の中に、「押し出す」(押して、何かを外へ移す)のように他動詞的に使われる場合があるが、「飛び出す」のように「飛び出る」に置き換え、自動詞になる複合動詞もあり、更に、「泣き出す」のように空間的「うちから外への移動」でなく、「~しはじめる」という時間的意なるものもあると述べている。姫野(1999)では「~かける」を「1、指向:対象に向かって何らかの動作、作用を及ばす;2、始動:動作の始まり、あるいはその寸前の状態を表す」と分類している。呂琳琳では「~だす」と「~開始」などの中国語表現について対照分析を行っている。