井手口彰典(2009)は「萌えお越し」(萌えの持つ集客力や話題性を応用し成果を上げようとする地域振興策)を紹介し、二つの萌える対象の成立プロセスを「メディア主導型」と「地域主導型」を分け、個別に検討していった。「ご当地キャラクター」は「地域主導型」に属し、大半が該当地域の伝承や産物、地理的特徴と結び付けられており、また近年では親しみやすさを前面に押し出した「ゆるキャラ」の体裁を取ることも多い。
石原実希は(2013)はキャラクターと「ゆるキャラ」の本質に迫り、成功したと考える4体の「キャラクター」をもとに、「インパクト型」と「マーケティング型」を分け、「ひこにゃん」、「せんとくん」、「くまモン」、「ふなっしー」を対象にして具体的な分析し、「ゆるキャラ」が成功するための秘訣を論述した。「ゆるキャラ」が地域活性化に貢献したとき、「ゆるキャラ」は成功したと言える。また、「地域活性化には外的活性化(観光客の増加や経済効果など人々の外側を活性化すること)と内的活性化(人々の内側を活性化すること)という2つの活性化がある」 と石原実希は考えている。
大崎一番太郎、戸越銀次郎というゆるキャラの「中の人」でありながらライターとして活躍している犬山秋彦と地方自治を専門に活躍している杉元政光の2名による、『ゆるキャラ論~ゆるくない「ゆるキャラの」実態~』という本では、ゆるキャラに関するビジネスモデルの解析やゆるキャラ紹介、取り組み事例などが紹介された。
熊本県庁チームくまモンは『くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ』という本を出した。この組織は、九州新幹線全線開業に向け熊本県内外で「くまもとサプライズキャラクターくまモン」を主役に熊本のPRを展開した、県庁内の複数の課にまたがるチームである。この本で、くまモン失踪事件などの物語戦略、利用料フリーで経済を活性化させる楽市楽座戦略等々、公務員の常識を打ち破る自由な活動を展開し、自治体史上例のない成功を遂げた奇跡のプロジェクトの全貌を語った。