歌舞伎は役者を中心に芝居であり、役者のもっている魅力に支えられている。歌舞伎では、子供の役は別として、すべて男性が演じる。女役を演じる男性の役者は「女方・女形」という。歌舞伎の初期に女性の出演が「風俗を乱す」という理由で禁止され、男性が女性の役を受け持つようになり、女方・女形の芸が工夫され、発達してきた。女方・女形の存在は、中国の京劇にも見られるが、歌舞伎の最大の特色となっている。
歌舞伎は力が強い様式的な「荒事」と、恋愛、情痴など濡事の「和事」がある。どちらも、そこで描こうとしているのは、親子の情、男女の愛、主従の忠義、出会いもあれば別れもある人間の心、つまり喜怒哀楽である。人の心は世界共通だから、歌舞伎の海外公演では、心理描写の巧みな芝居が、どの国でも共感を呼んでいる。
脚本の種類は大きく分けて貴族や武士の世界を描いた時代物と、庶民の生活を描いた世話物とがある。しかし、歌舞伎は江戸時代の町人の演劇で、武士階級の鑑賞するものではない。
荒事は歌舞伎の劇術または演出において、特殊な一様式を占めるものである。荒武者事の略。その名のごとく、きわめて荒々しく、勇武の表現にふさわしい単純豪放、一切の写実性を排して、極端な様式性を採用している。源[自-优尔^`论/文'网·www.youerw.com
最初の起源は、延宝元年初代の市川団十郎によって創始され、当時流行していた金平浄瑠璃の人形から暗示を得て、特殊な扮装と弁舌、動作をして以来で、代々の団十郎によって継承されて、更に工夫洗練を加えてこの種目を完成したといわれる。
荒事様式の作品といえば、『暫』、『勧進帳』、『鳴神』、『千本桜』、『仮名手本忠臣蔵』などがあげられる。
2.2 歌舞伎に含んだ宗教意
日本における宗教の信者数は、日本の行政機関の文部科学省の宗教統計調査によると、神道の信者数がおよそ1億700万人、仏教の信者数がおよそ8900万人、キリスト教の信者数がおよそ300万人、その他の宗教の信者数がおよそ1千万人、総計2億900万人となって、この数は日本の総人口の2倍弱にあたる。神道の信者数と仏教の信者数だけで2億人に近くている。
日本では神道、仏教の信徒が宗教の信者数に高い割合を占めている。神道と仏教という二つの宗教が日本に存在したと捉えるのではなく、神道が仏教を納得することで渾然一体となったその土地の信仰があったと把握する方が自然であるともいえる。歴史的に見ても今のこの時においても、神道と仏教はその働きを分担して担っており、両者を合わせて一つの宗教観を組み立ているともいえる。
戦乱の続いた中世に、公家も武士も民衆も一緒になって踊った「風流」という踊りがあった。元は応仁の乱で亡くなった人々を慰めるための踊りでしたが、だんだん大がかりになって、あいだもなく盛装する男女たちが歌を歌いながら同じ振りを踊る「風流踊り」になった。この舞踊は平安を願いして宗教儀式に似ている。この儀式は一般的に川辺などの綺麗な地方を行った。災難がさらさらと流れる水に従って遠ざかる。
こうした時代背景の下に「かぶき踊り」が生まれた。「かぶき」とは「傾く」という言葉を名詞にしたもので傾いている状態、つまり正常とは異なる状態を指している。「かぶき踊り」では、出雲の阿国とよばれた女性が男装し、十字架の首飾りをするなど通常と異なる扮装をしていたといわれる。十字架は木十文字に組み合わせ、罪人をはりっけにした処刑具。キリスト教で罪の贖いのこと。