1.2 先行研究のまとめと新しい視点
現在の国内の動物保護法のひどくて停滞している背景の下で、国内には動物保護の問題に関心を持っている学者が多い。中国の段朋江の『我国动物保护立法反思与完善』は欧米国家の動物保護の情況を分析してから中国の現状を加えて研究を進めている。
日本の青木人志の『日本の動物法』は人と動物の関係を「動物をまもる」と「動物をつかう」という二つの視点から研究する。
そこで、私は日本の近年の動物保護法の発展状態を分析することによって、中国の国情を結び付けて研究したい。日本の動物保護の歴史と中国のとよく似ていて、そして、ここ10年間日本の動物保護については加速発展しつつあっったから、更に参考になれると思う。
2 日本の動物保護法の歩みと現状
日本の最初のまとまった動物保護立法は1973年にともいうべき「動物の保護及び管理に関する法律」が制定された。この法律は全13条からなり、その目的は、「動物の虐待の防止、動物の適正な取り扱いその他動物の保護に関する事項を定めて、国民の間に動物を愛護する気風招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止すること」とされた。その後、動物保護管理法は、1999年に「動物の愛護及び管理に関する法律」と名称を改めて全31条からなる法律へと全面改正された。
動物愛護管理法は施行されて6年経った2005年に、さらに改正された。条文の数はふたたび増えて、今度は全50条となった。その改正内容は多岐にわたるが、以下に列挙する重要改正を含んでいた。
第一に、動物愛護管理に関する国の基本指針や都道府県の推進計画が策定されることになった。
第二に、動物取扱業が届出制から更に厳しい登録制に移行した。悪質業者に対しては、登録を拒否したり、登録を取り消したり、業務停止命令を出すことが可能である。業者は氏名や登録番号等を記した標識の掲示を義務づけられるほか、「動物取扱責任者」を選任して研修会を受講する義務や、動物の健康と安全の確保に加えて鳴き声等による迷惑を防止する義務を負う。
第三に、個体識別措置の普及促進が図られることになった。文献综述
第四に、従来地域ごとに規制のばらつきがあった特定動物の飼養が全国一律の許可制になった。
第五に、学校、地域、家庭での動物愛護管理の普及啓発の促進が図られることになった。
第六に、実験動物の福祉の向上が図られることになった。配慮事項として「3Rの原則」が明記された。3Rというのは、動物実験に関する論理原則として国際的に広く承認されているもので、動物の苦痛の軽減(Refinement)、使用数の削減(Reduction)、代替法の活用(Replacement)を指す。
以上のように、2005年改正によって、国や都道府県等、動物取扱業者、動物の飼主や管理者、そして、学校や地域が、それぞれ、動物の保護と管理の両面にわたり、法的な義務を負うことになった。その一方で、新規制に示されたガイドラインでは、動物管理の方法が詳細に規定され概ね適切であるとはいえ、やや具体性に欠ける点もみられる。
その7年後の2012年にも、動物愛護管理法は大きく改正された。この改正の結果、同法の条数は65にまで増えた。新規定はいくつか興味深い改正を含んでいた。