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1.1 珍野苦沙弥によって始まる
こんなつまらない人がこの小説の主人公になったのは金田 鼻子（はなこ）実業家金田の細君になる人が寒月と自分の娘との縁談について珍野邸に相談に来るが､横柄な態度で苦沙弥に嫌われて拒否された事から始まる｡だから金田は苦沙弥をなんとかして凹ませてやろうと嫌がらせをする。実業家金田の力の前で､正直で､善良な苦沙弥などの知識人達は､争う力もなくて､社会を遠く離れたまま､無駄に時間を過ごしている｡苦沙弥は善良な人で､栄誉などを求めてはいないが､わざと横柄な態度を取る金田夫人をなおざりにして､強権には恐れないが､しかし交戦すると弱くなってどうしよもない｡金田との争いの中で権勢への嫌悪と金への嫌いが明確になったが､彼が明確な生活の目的と進取精神が不足だったため､ただ時代の弊害を風刺することしかできない｡実業家勢力の争いには結局は実力を発揮する所がないのにそれに満足し､話に花が咲く中で野暮さと栄光を表している｡