であるが、実は、村上春樹の初期三部作に関する先行研究はほぼ同じような方向であると思われる。実は、村上春樹の初期三部作を深く理解するために、「僕」と「鼠」の関係や人物像の差異などをはっきりさせる必要があると考えられる。本稿では、この点について検討していきたい。
1. 先行研究
2.1 初期三部作の表現技巧
村上春樹は回想の方式で時代背景の中で「私」と「鼠」の青春を描く。自身の青春をもとにして、それぞれの都市若者のイメージを描き出す。彼らは、資本主義のもとではの暮しになじめないので、喪失感と寂しさをわっている。
村上春樹は、初期三部作の中で、新たな創作手法を使っている。それは、小説の内容が現実生活から取材されているということである。人物の名前や家庭もないが、性格や言語に時代性を表している。プロットが複雑であるが、はっきりと主題を表している。この最初の三部作にはリアリズム要素が多く見られる。例えば、小説を貫く60年代の流行っている音楽は小説と現実生活に緊密につながっていることを表している。
その他、王桂英は「現在都会人の内在的迷いと彷徨を取りあげて書いたので、読者の共感を呼び、、村上春樹の書いたジャズ喫茶は自分も一度行ったこともあるジャズ喫茶で、彼の書いた迷いも自分が経験したものだと考えさせていた。」と述べている。これによって、三部作の中で、リアリズム要素が多い。
さらに、初期三部作の時間は連続である。その特徴は明らかである。初期三部作は三つに分け、それは、大学時代の「僕」と「鼠」、大学を出て、就職したばかりの「僕」と「鼠」、及び三十歳ぐらいの「僕」と「鼠」である。その上、三部作の主題がほとんど同じで、現代人の「内面」の空虚や彷徨いを表している。このように、三つの作品には明らかに連続性がある。
王桂英は『1973 年のピンボール』は『風の歌を聴け』から始まり、三部作の二作目、『風の歌を聴け』と『羊をめぐる冒険』との間の過渡的な作と見なされてきた。村上春樹自身もこの作を次のように評している。「これが過渡期だったと思うんです。三作の中でいちばん弱いというか、読者の反響を見てもいちばん影が薄いところがあるようですが、それは、僕自身が迷っているからだという気はするんです。『風の歌を聴け』から、どっちに進むかというベクトルを『1973 年のピンボール』で試みたという感じがあるんです。」と述べている。(2)この点によって、三つのテクスト間の連続性はいっそう明らかになってきる。
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