また、日本語の連体修飾節における動詞はテンスの意とアスペクト的意から脱することがある。金水敏(2000)は形容詞に当たる「~タ」の形をとった動詞はテンスとアスペクトから解放され、単純な状態を表すことになっていると指摘している。
以上の説を踏まえ、まずは文末のアスペクトの適用規則の連体修飾節における適用性の検討をしていく。次に連体修飾節における「~スル」形の動詞の純粋な修飾表現について研究する。最後に「~シタ」形の自動詞の形容詞化について検証していく考えである。
1.3 本稿の目的と方法
まずは、連体修飾節における動詞がテンスあるいはアスペクトの意を含むこともあれば、そうでない場合もあると認識し、その内単にアスペクトの意を含む動詞を取り上げて文末のアスペクトの適用規則の適用性を検証していく。次に、連体修飾節における「~スル」形動詞はテンスの意とアスペクト的意を含まず、いわゆる超時間的な場合もあることが先行研究から明らかになっているが、本論では主名詞等を含めて「~スル」形の純粋な修飾に影響する要素を取り上げてそれをさらに検証していきたい。最後に「~タ」形動詞の形容詞化について主に自動詞の場合を取り上げて形容詞化に課される条件を探っていきたいと考える。