要するに、見た目では、折りたためるものが扇子、折りたためないものがうちわと呼ばれている。また、扇子とうちわの起源も同じではない。かいつまんで話すと、扇子は日本から世界へ伝えて、うちわは中国から日本へ伝わたものである。
2.3 扇子の歴史
扇子の歴史と言うと、もしうちわの歴史を参照にしたら、もっと理解しやすいと思う。紀元前の中国でうちわを用いるという記録がある。また古代エジプトの壁画にも、王の脇に巨大な羽根うちわを掲げた従者が侍っている図があり、日本では利田遺跡(佐賀県)において、うちわの柄が出土した例がある。このようにうちわは文明発祥時から存在するが、折り畳めるうちわともいえるの扇子は約8世紀頃の日本で発明されたものである。その折り畳む仕組みは、コウモリが羽を器用に仕舞う姿から考え出されたとも言われている。
最初に現れた扇子は30cmほどの長さ、2~3cm幅の薄い檜の板を重ねて作る檜扇と呼ばれるものであり、これは奈良時代から平安時代の初期にかけて世に現れたといわれる。その後、平安時代の中頃までに、5本または6本の細い骨に紙を貼った蝙蝠扇が現れた。これが現在一般に見られる扇の原型であるが、このころの紙貼りの扇は扇面の裏側に骨が露出する形式であった。平安時代には扇子は扇ぐという役割だけでなく、儀礼や贈答、交流の道具としても用いられた。具体的には和歌を書いて贈ったり、花を載せて贈ったりしたことが、源氏物語など、多くの文学作品や歴史書に書かれている。このように扇子は涼をとったりもてあそび物になる一方で、時代が下るにつれ儀礼の道具としても重んじられ、公家や武家また一般庶民の別なく、日常や冠婚葬祭での持ち物の一つとされて長い日本文化の中に愛された。文献综述
そして、日本の扇子はコンパクトに折り畳めるという利点が高く評価され、中国大陸には北宋の時代に、またその中国を経てヨーロッパにも輸出された。17世にはパリの上流階級にいる婦人達の間も大流行した。