まず、伝統的な女性像という側面から見ると、渡辺淳一の作中にいる女主人公らの外見にも中身にも女性の古典美が溢れていることが分かる。女性たちは伝統的な和服を着、それに合う飾り物を選び、歩いても静かに座っても優雅な女性である。また、日本の伝統的な優雅な女性と同様に、渡辺淳一に描かれた女性たちは華道や書道などの伝統芸能を習い、女性の古典美の色彩は一層濃厚になっている。それに、作品にある季節への鋭い感覚の描写も日本女性の古典美を表す方法のひとつである。そして、渡辺淳一の作品の目次は季節の名を使い、内容も季節と強く繋がっており、季節の転換とともに、男女の感情は発展していく。また、女性自身も季節のように、春から冬までの転換で本能が覚めて成長し、最後に完璧な女性になる。そして、自然が大好きな日本人として、渡辺淳一はしばしば花を使って女性を賛美する。彼の作品の中で、異なる女性は異なる花で比喩され、そして一人の女性にしても、中身の変化の程度によって代表された花も変わる。しかし、いかなる変化をしても、花も女性も常に優雅な姿でこの世で美しく咲いているという点は同じである。要するに、渡辺淳一はこれらの日本の伝統的な美を使い、彼の心の中に存在している理想的な女性を創った。

そして、渡辺淳一に描かれた女性たちは現代意識を持ち、男性との交際の過程で心身が成熟し、道徳の束縛から抜け出し、愛を追求する勇気を生み出す。また、男性に頼らず、精神が独立していることもよく描かれる。しかし、女主人公たちには軟弱の一面もある。言い換えれば、渡辺淳一が創った女性像は現代意識を持っているが、その意識は徹底的ではない。

要するに、渡辺淳一の作品に登場した女性は妖艶と純粋の完璧な融合体である。これらの女性は外界の様々な刺激を受けてから、究極の愛を追求し始める。これこそ渡辺淳一が示したがる理想的な女性像である。そして、女性を武器として、道徳の囲みを破り、愛を謳歌することは渡辺淳一の目的あるいは現世への意義である。しかし、二点の問題が残っている。第一点は、『アジサイ日記』の川嶋志麻子をはじめとする家庭に戻る女性と、『失楽園』の凛子をはじめとする死亡を迎える女性、両者の異なった結末の原因と現代意識の程度の差はまだ分らないことである。第二点は、一部の人は愛に狂う女性を賛美している。つまり、彼らは愛を追求する勇気が現代精神だと思っている。前者に対して、一部の人は女性の独立した精神を賛美している。要するに、渡辺淳一に創られた女性像の現代精神は、感性と理性とどちらが重要なのか。筆者は上述の二点の問題について再考する。

1.2先行研究と本研究の立場

まず、伝統的な女性像という側面から見ると、楊月枝の＜从《一片雪》看渡边淳一恋爱小说的女性美＞も安妮の＜因情而死，因死而生―渡边淳一女性书写的文化内涵探寻＞も外見から女性の古典美が見えると言う観点をとっている。楊月枝によると、渡辺淳一の作品にいる女性達は伝統的な和服を着、それに合う飾り物を選び、歩いても静かに座っても優雅な女性に違いない。また、日本の伝統的な女性と同様に、渡辺淳一に描かれた女性たちは華道や書道などの芸能を習い、女性の古典美の色彩は一層濃厚になっている。それに、渡辺淳一の理想的な女性は外見のみでなく、中身にも古典美が溢れていることが分かる。楊月枝は＜从《一片雪》看渡边淳一恋爱小说的女性美＞で以下のように言った。作品におけるある季節への鋭い感覚の描写も日本女性の古典美を表す方法のひとつである。渡辺淳一の作品の目次は季節の名を使い、内容も季節と強く繋がっており、季節の転換とともに、男女の感情は発展していく。また、女性自身も季節のように、春から冬までの転換で本能が目覚めて成長し、最後に完璧な女性になった。そして、大自然が大好きな日本人として、渡辺淳一はしばしば花を使って女性を賛美する。彼の作品の中で、違う女性は違う花で比喩され、そして一人の女性にしても、中身の変化の程度によって代表された花が変わる。しかし、どのように変化しても、花も女性もいつも優雅な姿でこの世で美しく咲いていると述べた。要するに、渡辺淳一はこれらの日本の伝統的な美を使い、彼の心の中に存在している理想的な女性を創った。