1狩谷新『メディアミックスによる小説世界の変化:東野圭吾の主人公描写』大分県立芸術文化短期大学
研究紀要 第 49 卷 p.135-144 2011 年
2増満圭子『現代文学が語るもの:東野圭吾『分身』論』東洋学園大学紀要 第 14 卷 p.209-222 2006
年 3 月
3和田勉『東野圭吾論』九州産業大学国際文化学部紀要 第 55 号 p.1-12 2013 年 9 月
しかし、デビューからなかなかヒット作に恵まれず、1999 年の日本推理作家協会賞を
『秘密』で受賞するまで、文学賞に何度も落選した東野は波に乗れない状態が 14 年も続
いた。人気作家の仲間入りを果たしたのは 2006 年に『容疑者Xの献身』で直木賞を取っ た以降なのである。そこで、その落選歴を次の表のようにまとめられる。
東野圭吾の落選歴(1988-2004)
年度 作品 出版社 受賞候補文献综述
1988
学生街の殺人
講談社 第 9 回吉川英治文学新人賞候補
第 41 回日本推理作家協会賞(長編部 門)候補
1990 鳥人計画 角川書店 第 11 回吉川英治文学新人賞候補
1991 天使の耳 講談社 第 44 回日本推理作家協会賞(短編お よび連作短編集部門)候補
1992 鏡の中で 実業之日本社 第 45 回日本推理作家協会賞(短編お よび連作短編集部門)候補
1993 ある閉ざされた雪 の山荘で 講談社 第 46 回日本推理作家協会賞(長編部 門)候補
1993 交通警察の夜 実業之日本社 第 46 回日本推理作家協会賞(短編お よび連作短編集部門)候補
1996 天空の蜂 講談社 第 17 回吉川英治文学新人賞候補
1997 名探偵の掟 講談社 第 18 回吉川英治文学新人賞候補
2000 白夜行 集英社 第 122 回直木三十五賞候補
2001 片想い 文藝春秋 第 125 回直木三十五賞候補
2003 手紙 文藝春秋 第 129 回直木三十五賞候補
2004 幻夜 集英社 第 131 回直木三十五賞候補
専業作家になってから、21 年も経過し、遂に努力に報いられて、『容疑者Xの献身』に より、直木賞を受賞した。その後、極めて多くのファンを得、ベストセラー作家となった。 映画化やテレビドラマ化された作品にも人気が高い。たくさんの勲章をいただいた『容疑 者Xの献身』は東野の最高傑作と言っても過言ではない。