(2-7)太郎が花子を殺した。『主格+対格』
(2−8)太郎が花子に触った。『主格+与格』
「殺す」という動作が花子に及び、変化を起こした。「触る」という動作が「花子」に及んだが、変化を起こすかどうかは述べていない。
また、H&Tの他動性の仮説は、他動性の意的特徴で、特徴同士の高低にかかわらず共起すると主張するが、角田は高い特徴同士が共起しないことを指摘した。さらに、他動詞文の格枠組みの実現に関しては、「I被動作性」と「E意図性」などが食い違った場合には優先すると主張した。
H&Tの提案した他動性の定義は、10の意的特徴と同等にみなしている。一方、角田は被動作性を重視している。さらに、対象に変化を起こすという特徴を加えて、最も重要視している。他動詞の意の面では、世界のどの言語にもあてはまるが、形の面では言語によって違う。