2. 先行研究

ヴィジュアル系については、おおよそ次の二種類に分けることが出来る。

一つは國分功一郎をはじめとする、よい評価をする論文。國分功一郎2は「ヴィジュアル系論」を書き、「ヴィジュアル系は日本文化の「海外進出」に大きな影響を与えている。」と主張した。

もう一つは、ヴィジュアル系が現在の姿となり、それ自身がもたらす問題を示していることを研究対象とする論文もある。北海道教育大学の伊藤良因は「ウィジュアル系の文化に関する考察　―ウィジュアル系の現在とその閉鎖性―」の中で、自分の憂えるところを説明している。3「ヴィジュアル系文化は変わった文化として、一部の人に受け止められなく、気持ち悪い世界に映ってしまうこともある」。その閉鎖性によって、ヴィジュアル系バンドブームは下火になるである。

また、中国のヴィジュアル系に関する研究まだまだ足りないと思われる。陈华强は「谈日本视觉系摇滚」の文の中で、批判的な目で日本のヴィジュアル系バンドを見ている。4バンドを作った時と人気になった時、この二つの段階でのバンドの表現から見れば、一部のバンドが商業化に伴う、元来持っている大事なものを失い、ただお金を稼ぐ機器になったということを指摘した。その点で、曾臻は「浅析华丽摇滚在现阶段中国社会的传播」でも同じ観点を示している。吴道兰は「日本视觉系流行的深层根源」を書き、ヴィジュアル系について次のように主張している。「日本人はヴィジュアル系化粧をし、自分を妖魔にすることはただ自分の不完全な性格をさらすだけである」。5

以上の研究や現状から見れば、 ヴィジュアル系自身を批判するのが一般的である。日本のウィジュアル系ロックとヘビーメタルの関係について具体的な言及はない 。日本では、ほとんどのウィジュアル系バンドはヘビーメタルバンドである。ヘビーメタルを抜きにして、ウィジュアル系の現状や発展は語ることはできないと思われる。いまのところ国内では、ヴィジュアル系を主題とした文章はわずかで、バンドを研究対象にしたものが多く見られる。筆者はウィジュアル系そのものを対象にして研究を続けたい。具体的に、ヴィジュアル系ロック自身の活躍、そして他の流派の誕生や発展に与えた影響に目を向ける。特に日本のウィジュアル系ロックとヘビーメタルの関係を明らかにすることは、ウィジュアル系の現状を深く理解する面においても有意義ではないだろうか。来*自-优=尔,论:文+网www.youerw.com

3. ヴィジュアル系の歴史

3.1 　 ヴィジュアル系の誕生

70年代、サザンオールスターズをはじめ、空前のバンドブームが日本の音楽シーンを変えていた。その中で、THE BLUE HEARTSを代表とするパンクバンド、また聖飢魔Ⅱを代表とするジャパメタバンドの発展に伴い、80年代には日本音楽シーンはロックの全盛期を迎える。６その中で、XJAPANを始め、色々な化粧系バンドが登場した。彼らは欧米の流行――グラムロックから習い、日本の伝統文化、例えば歌舞伎、鬼などの形式と一つに溶け合い、複雑なバンドブームからひとつのジャンルとして確立させた。日本文化を土台とし、しっかりと定着した。その結果、ウィジュアル系の発展は遥かにグラムロックを超えていく。