3.2 発展ブーム
1980年代後半、バンドブーム自体が下火になった頃から、かえってプロフェッショナルなバンドの多様化が始まっている。その1つが「お化粧系」バンドである。90年代半ば、お化粧系バンドはヴィジュアル系と呼ばれるようになった。初期のX(後のX JAPAN)がバンドのキャッチコピーとして使っていた「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」が起源だとされているが、「ヴィジュアル系」という言葉はいつ、誰が、なにをきっかけに使ったのかは不明である。そして、ヴィジュアル系バンドは異常な化粧や、複雑な音楽性を吸収し、多くのファンを持つに至るのである。従って、90年から2000年代はヴィジュアル系ロックの戦国時代とも呼ばれ、優れたバンドが数えきれず、ヴィジュアル系バンドの宝庫であった。
3.3 次世代のヴィジュアル系
2000年代に入ると、昔大活躍したバンドのうち、活動休止や解散したバンドの数は少なくない。表舞台にも出なくなった。メイクや衣装の派手さが弱くなったが、幸いなことに音楽性の広さは継承されていった。「ネオ・ヴィジュアル系」8は代表的な存在である。そして、00年代にはDELUHI、MEJIBRAY、摩天楼オペラ、NOCTURNAL BLOODLUSTなど現在においても知名度の高いメタルバンドが多く登場した。
4. ヴィジュアル系ロックの現状
4.1 バンドマンの世界観
ここでは、ヴィジュアル系バンドの曲作りを切り口として、バンドマンの考えを分析する。ヴィジュアル系層において一般的に知られたバンドの曲を例にする。
まずはヴィジュアル系に大きな影響を与えた元ヴィジュアル系のヘヴィロックバンドDIR EN GREYのVINUSHKAおよび輪郭に関して考察していく。ヒップホップ、ニューメタル、スクリーモ、メタルコアそして最後にポストメタルに変身した。簡単に言えば、以上はDIR EN GREYの音楽軌跡である。井上貴子、森川卓夫、室田尚子、小泉恭子は『ヴィジュアル系の時代―ロック・化粧・ジェンダー』で次のように述べている。「技術的には後輩バンドに及ばないが、時代の流れを沿い、バンドの現状を考え、初心に帰れ、ファンに好まれる曲を作ることから見れば、なかなか嗅覚が鋭いバンドではないか」。论文网
次に、「密室系(密室ノイローゼ)」の大ボス「cali≠gari」の曲を分析する。-踏-、娑婆乱打、マネキンからニューウェーヴ、ポストパンク、ニューロマなどのジャンルが読み取れる。「やり過ぎ感」があるせいか、セールスはあまりよくないが、個性があってからかファンが押し寄せるのも無理はない。
最後に近年メジャーデビューした「クサメタル」摩天楼オペラは、Helios、GLORIAをリリースした。乱暴な表現でメロスピ・シンフォニックスピードメタルを演出する。
全体からみると、同じウィジュアル系でも、バンドを引いている人により、バンドの発展や評価はそれぞれ異なる。
4.1.1 歌詞
あくまで、歌詞は言葉である。ソングライターは歌詞を使って、曲を作る。歌詞は演奏技法や歌唱法より、バンドマンのコンセプトをのぞき知る重要な鍵である。文献综述
しかし、メジャーデビューを果たしたバンドの場合、いかに独自の世界観を持っていてもショービジネスの中にあることから、心の考えをそのまま歌詞に取り込むことは不可能である。その理由は以下の二つである。一つはバンド自身である。バンドの結成、活動、インディーズからデビューまでかける時間や精力は巨大なものである。この間に、バンドマン自身の心境が変わる可能性がある。いわゆる世間を経て、心境が成熟するかもしれない。もう一つは環境である。いったんデビューすると、人目に表れる機会も大幅に増えるからこそ、世論、セールスなど見えずとも守らなければならないルールがある。最近、不適切な歌詞で番組が出演映像を削除することが幾度も起こった。活動を続けたいなら、制約されるのは当然のことであろう。