3 中日両国の有名な現代的な企業の比較
3.1豊田自動車
3.1.1「豊田綱領」の基本理念
豊田は創業以来、自動車を通じて豊かな社会づくりに貢献することを基本理念として、事業活動、企業活動を営んでいる。豊田の経営の核心としては今日まで貫かれてきたのが豊田綱領である。豊田グループの創始者、豊田佐吉の考え方をまとめたもので、豊田基本理念の基礎となっている。豊田綱領は次のようなのである。
①上から下まで一致し、真心を込めて働いて、そして、勇敢に実践し、大胆に新しいものを作り出して、財務の回報や社会責任などの方面を通して、国のために尽くしてその恩に報いる。
②心を落ち着かせてその物事に取り組む、永遠に時代に先んじている。
③焦らずおごり高ぶらないように、浮つかないで、まじめで仕事をする。
④温情友愛の精神を発揮し、会社を温かい大家族にならせる。
⑤神仏を尊崇して、努力して恩返しをする。
3.1.2豊田生産方式の提出
トヨタ自動車の車を造る生産方式は、「リーン生産方式」今や、世界の範囲で知られ、研究されている作り方である。「お客様にご注文いただいた車を、より早くお届けするために、もっとも短い時間で効率的につくる」という目的は長い年月の改善を積み重ねて確立された生産管理システムである。トヨタでは、1957年にクラウンを米国に輸出開始して以来、海外各地で自動車を販売していた。輸出開始から大体50年間、今では170以上の国と地域で豊田車が販売されいる。この進展にあわせ、「需要のある場所で生産する」という方針のもと、現在では開発・設計から生産・販売・サービスまで、全部グロバル化・現地化を実現している。
3.1.3「豊田ウェイ」の影響力
「トヨタウェイ」とは何であるか。「トヨタウェイ」というのはトヨタの「人づくり」そのものであり、そのための教育づくりである。それはトヨタの人的資源管理のみならず労使関係全般にわたる広範かつ緻密なシステムである。「トヨタウェイ」というのは、筆者なりに言うと、「トヨタ生産方式を支えるために、トヨタで働く労働者ひとりひとりにトヨタの価値観や理念を徹底的に理解してもらうこと、そして、それを浸透させるためのシステムを人的資源管理や労使関係のなかに組み込むこと」である。「トヨタウェイ」は、労働者から巧妙にモラールを引き出す。それらを前提として、経営側はTPSを用いてラインに圧力をかけ、定員制を打破して「少人化」し、ぎりぎりの人数で生産ラインを回す。労働者間で昇格・昇進・昇級の競争を促し、同時に長期的な「キャリア」展望を示し会社にコミットさせる。