これまでの「老人保健法」による老人医療制度と大きく異なる点としては、従来は他の健康保険等の被保険者資格を有したまま老人医療を適用していたのに対し、後期高齢者医療制度では適用年齢(75歳以上)になると、現在加入している国保や健保から移行となり、後期高齢者だけの独立した医療制度に組み入れられるという点や、徴収方法が年金からの特別徴収(天引き)が基本となっている点、プライマリケアに対して診療報酬が支払われること(包括払い制度)なども挙げられる。
2.3日本後期高齢者医療制度設立の経過
1999年(平成11年)
10月4日 自由民主・自由・公明の、自自公連立政権である小渕第2次改造内閣における三合意により、2005年を目途に、年金、介護、後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築すること、それに必要な財源の概ね二分の一を公費負担とすることを決定。
11月 国会で後期高齢者医療についての論議が始まる。
2006年(平成18年)
2月10日 内閣提出の「健康保険法等の一部を改正する法律案」が第164回国会に提出される。
5月17日 衆議院の厚生労働委員会で法案が可決[51]。18日には衆議院で法案可決。
6月14日 参議院で可決。
6月21日 公布。
2007年(平成19年)
3月末 全国の自治体での議決を経て全都道府県で広域連合を設立。
10月5日 第21回参議院議員通常選挙(7月29日)で自公連立政権が惨敗した事を受け、日本国政府が70~74歳の窓口負担の1割から2割への引き上げを1年間凍結させる方針を固める。75歳以上で被扶養者であった人からの新たな保険料徴収は、9カ月間凍結する方向で調整を進める。
12月 保険料についての条例を制定。
2008年(平成20年)
3月30日 「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について(平成19年3月30日付)と題する厚生労働省保険局医療課長通知が出される。
4月1日 「高齢者の医療の確保に関する法律」を施行。
4月11日 厚生労働省が市町村及び広域連合からの照会のためのホットラインを設置。
4月 139の市区町村で保険料の徴収金額の間違え、保険料の免除者から誤って徴収したことが報道される。
4月25日 厚生労働省が制度に関する国民の質問等を土曜日及び日曜日においても受け付ける専用ホットラインを設置。
5月23日 民主・共産・社民・国民新の野4が参院厚生労働委員会に「後期高齢者医療制度廃止法案」を提出。趣旨説明が行われ、実質審議入り。
5月27日 元自民衆議院議員浜田幸一を起用した後期高齢者医療制度への理解を求めるCMを沖縄県議選に向けてオンエア。
6月3日 『毎日新聞』が保険料を負担している人の約7割は負担が軽減されたとの厚生労働省の調査結果を報じる。
6月4日 後期高齢者医療制度への移行に伴う保険料増減の厚生労働省の実態調査において所得の低い世帯ほど保険料負担が増えていたことが判明。
6月5日 町村信孝内閣官房長官が記者会見で、与がまとめた保険料軽減策を実施する場合、国民健康保険から移った高齢者世帯で保険料が下がる割合は現行の69%から75%に上がるとの見通しを示す。
6月5日 参議院の厚生労働委員会において「後期高齢者医療制度廃止法案」が可決。
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