1.1 先行研究
敬語は、「よりよい人間関係を作る円滑なコミュニケーション」に貢献している。先行研究を調べてみると、敬語と人間関係についての研究が多くみられる。
菊地康人による『敬語再入門』では、敬語は敬意表現であり、敬意を示すべく「高める」ということは、上として扱うということだから、敬語は、基本的に「上下」の表現だ。日本語の敬語を使う基準に関して、目上・年上などの「上下関係」が一番大きな基準であるという観点がみられる。
野元菊雄による『敬語を使いこなす 』では、敬語は「お互いに心を和ませ、人と人との接触をあたたかにする」という作用が述べられる。
井上史雄による『敬語はこわくない』では、よそよそしい関係、つまり「親疎」の関係でいうと疎の時に、「敬遠」を表すために敬語を使用し、相手との心的距離をとるという立場である。
滝浦真人による『日本の敬語論ポライトネス理論からの再検討』では、敬語は距離化の表現であることが指摘されている。距離化とは、対象人物を「遠くに置くこと」によって、その領域の侵犯を回避するネガティブ・ポライトネスの一形態である。対象人物を遠くに置くとは、その人物を「外」待遇することである。
上記の先行研究から見ると、上下関係、親疎関係、内外関係などを基準にし、敬語が使われているといえる。そのいずれの関係も「距離感」に深くかかわっていると思う。本文では、「立場」「上下」「親疎」「内外」など「距離感」に影響をあたえる諸ファクターを具体的に考察しよう思う。また、「距離感」によって、敬語に反映されている日本民族ならではの礼も深く考えたいと思う。文献综述
1.2 研究の動機及び目的
敬語表現は複雑であり,日本人でも正確に使い分けることが容易でない。特に外国人にとっても敬語文の意味の理解が困難である。先行研究を調べてみると、人間関係を基準にする双方向的な敬語が使用されているといえる。人間関係が「距離感」に深くかかわっていると思う。言語研究者柴田武によっても、敬語は距離の表現だといえる。距離次第で、時には、同じ二人の間でのその時の「距離感」次第で、敬語を使わなかったり使ったり、ということがあるわけだ。実際には、社会的な上下の距離をはかって敬語を使うことが多いが、それだけではなく、敬語の使用には、社会的、心理的ファクターが影響をあたえる。
日本人とのコミュニケ―ションを円滑に進めるために、「距離感」をちゃんと把握するのが不可欠だ。本文では、第一部分は、例を挙げ、「距離感」にかかわるファクターを具体的に説明し、どんな時に何階段の敬語を使ったほうがいいかを考える。第二部分は、「距離感」の年代差と個人差を説明する。最後、「距離感」によって、敬語に反映されている日本民族ならではの礼を深く考えたいと思う。
2 敬語の定義と種類
2.1 敬語の定義
敬語とは、主体とその相手やその話題中の人物との社会的関係(親疎、権力の大小)と態度を表す言語表現である。これは人に対する待遇の仕方が言語表現に現れたものだから、待遇表現とも呼ばれる。国語辞典の類を試みに紐解いて見て、「尊敬の気持ち」「相手を敬う気持ち」とかの説明がみられる。ポライトネスを実現する手段の一つとして、狭義には体系的に文法化されているものを指すが、広く敬称などの語彙的表現を含む場合もある。来*自-优=尔,论:文+网www.youerw.com